秘湯の宿特集・第2回、熊本県天草市の「大洞窟の宿 湯楽亭」。前編では、旅館の未来のために温泉を開発したという経緯と、家族で手掘りしたという洞窟風呂の工程を先代・現会長の嶋田秀雄さんにお話しいただきました。後編では、2種の源泉について詳しく、また温泉を守る工夫について伺います。
鮮度は抜群。かけ流しする『赤湯』と『白湯』
写真:「温泉開発記念碑」
源泉は旅館の横にあり、パイプでお風呂まで引湯していますが、源泉をそのままかけ流しています。
写真:ジャバジャバと湧く温泉は地球の恵み
「鮮度は抜群に良いですよ。源泉直行で、循環式ではないですし。実際に見てもらわないと、話では表現がしにくいですが、赤湯は炭酸泉で、炭酸が豊富に含まれているものですから、風呂の中に入れるときに、上からたらたらと垂らすようなものではなくて、お湯の出口から炭酸ガスの勢いで、何mも飛ぶような勢いなんですよ。なので、温泉の出口をパイプで浴槽の中に差し込んで入れるようにしています。炭酸ガスの圧で、バンバン、バンバンと吹き上がるような感じで、激しい温泉です」
写真:独自の造りが楽しい洞窟風呂
「白湯のほうは透明の静かな温泉で、綺麗な温泉です。肌に触れると表面がぬるぬるとするような感じです。両方のお湯が一つの浴室で入れますから、お客さんにとってはこの上ない楽しみだと思いますよ」
熊本地震で止まった赤湯。復活後の新赤湯とは?
写真:弓ヶ浜の地で長く温泉を楽しむために工夫を凝らす
ところが、2016(平成28)年の熊本地震で、赤湯の元のほうにある管が曲がってしまい、温泉が出なくなったそうです。
「1年以上かかりましたけど、近くでまた掘り直して、復活したんです。それがまた、泉質も濃く、温度も50度と高くなって。それが新赤湯です。」
写真:2018(平成30)年に再生した新しい赤湯は成分も濃い
温泉を守る秘訣は水位のバランス
温泉を守り続ける工夫として、温泉を休ませるということですが、具体的にはどのようにしているのでしょうか。
「温泉の保護というのは、お湯を止めてしまうのではなくて、揚湯量の調整によって、つまり汲み上げる量と、湧き上がってくる量のバランスをとるということなんです。汲み上げるポンプの力は何馬力とかっていいますけど、もし馬力が大きすぎて汲み上げ続けて水位が下がるようだと逆に馬力の小さいのに取り替えます」
写真:気温の変化により温泉の色も変わる。まさに自然そのもの
「水位が安定するところが、需要と供給のバランスの良いところで。そのバランスがよくないと、結局は枯渇しますからね。それが温泉の保護ということに関しては大切なことだなと。汲み上げるのを止めるから保護になるということではありません。また汲み上げるポンプの馬力をあげ過ぎれば、容易に枯渇しますよ。水位が下がっていきます。だから、水位が安定するようなところでの汲み上げ量というのが、ベスト。そうしていれば、永久に使えるはずです」
写真:穏やかな弓ヶ浜
「地下何mというところでポンプの位置を設定して、吸い切らないで安定している水位というのが、それが安定水位ということ。その量を守っていれば、間違いないと思います。たとえば、3馬力でちょっと危ないね、というときには2.5馬力にする。吸い切ってしまって水位が減ってきたときに、馬力を増やしてポンプの位置を下げて汲み上げようとしてしまうと、水位がどんどん下がっていってしまう。湧き上がってくる量に対して、汲み上げる量を少し減らす」
写真:海の恵みを味覚でも堪能できる
無理に湯量を確保しようとするのではなく、自然に逆らわないような形で、温泉の利用を続けていくということですね。
写真:2019年に住み着いた看板猫のゆなちゃん
最後に、天草と宿の魅力を改めて教えていただきました。
「天草は四方が海。もともと島ですから。3つの大きな島で成り立ってるところですから、海に面した風光明媚な観光地です。それと、天草は温泉が少ないところですが、魚は豊富だし、自慢できる温泉がありますからこのうえない、素晴らしい場所だと思いますよ」
写真:築年数は経っているが大切に使われている客室
写真:宿泊客には「白湯」の温泉水で淹れたコーヒーをサービス
2021年3月現在、下記のキャンペーンが実施されています。
【第2弾くまもと限定緊急宿泊キャンペーン】2021年3月15日~4月30日宿泊分まで。
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熊本県民は今こそ、ほかの地域からは落ち着いた時期にぜひ、訪れたいですね。
(取材・文:前田ゆかり、編集:hotspring727)
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大洞窟の宿 湯楽亭
http://yurakutei.jp/
所在地:熊本県上天草市大矢野町上5190-2
GoogleMAP
TEL:0964-56-0536
●宿泊について
宿泊料金例)
1泊2食付/2名1室利用の1名あたり
基本プラン:15,400円〜 ※税サ込、入湯税150円別
標準チェックイン/アウト
15:00/10:00
宿泊者の温泉利用時間
チェックイン〜23:00、6:00〜チェックアウト
●日帰り入浴について
営業時間:10:00~15:00、18:30~20:00
大人(中学生以上):600円、小学生:400円、2歳から6歳(小学生以下)300円
※状況により、時間変更あり。詳しくは当日電話で問合せを。
※休館日や大幅な時間変更がある場合は、公式HPの【お知らせ】で情報発信あり。