小学館が「食」の描写に秀でた作品を募集する「日本おいしい小説大賞」を創設。グルメ好きはもちろん、温泉・旅好きも注目したい賞ですね! 大賞賞金は300万円!考委員に山本一力氏(作家)、柏井壽氏(作家)、小山薫堂氏(放送作家・脚本家)を迎えたほか、テーマに沿っていればジャンルは不問とのことです♪
写真:第1回 日本おいしい小説大賞 公式サイト
「おいしい」をエンターテインメント小説に! 新たな才能を発掘&育成
小学館 出版局文芸編集室に賞の創設にいたった理由を聞いてみたところ、近年では食を通じての、人との交わりを描いたり、心の傷を癒したりするというような、食描写によって、より深みをました文学作品が増えているそう。
ただ「おいしそう」な小説であるだけではないのですね。
例えば、本賞の選考委員である山本一力さんの「だいこん」「銀しゃり」、柏井壽さんの「鴨川食堂」シリーズなど。
人の味覚は千差万別、おいしい記憶も異なります。その記憶には、それぞれの物語があるはず。
その「おいしい」エッセンスをエンターテインメント小説に昇華させて、読者を魅了することができる新たな才能を見つけて育てたい。そんな想いから「日本おいしい小説大賞」が誕生したということです。
池波正太郎「鬼平犯科帳」は発刊から50年経つ今も、絶大な人気を誇っています。
公式サイトによると鬼平犯科帳の様々な魅力のなかでも、食の描写があまりにおいしそうであることがその理由のひとつになるのでは、とのこと。
(中の人注:江戸時代の食が生き生きと活写されている「鬼平犯科帳」、たしかに読んでるとお腹がすいてきます)
読者としては、新たな「おいしい」小説に出会えるのが、今から楽しみですね!
30代から50代の女性のニーズが高い「食にまつわる話」
特徴的なのは、食にまつわる話のニーズが高いのが30代から50代の女性ということ。
なぜこの層でニーズが高いのか? 文芸編集室に質問をしてみたところ「食べることと読むことは似ている」という返答が。
「 取り込んだ栄養はやがて身体の一部となるからこそ、より良いものを食べたい、読みたいと思うのはこの世代に限ったことではないでしょう。
ただ、アート作品に触れたり、スポーツで体調を整えたりなど、自分を高めるために積極的に活動している(あるいは、したいと思っている)人が、この世代層には多い印象です。
もしかすると、「食」と「物語」の楽しみが同時に効率よく味わえることが、30~50代女性に人気である秘密なのかもしれません 」。
我こそが、とこの文学賞に「おいしい小説」を執筆して応募したい人には、旅先での「おいしい」や温泉宿での「おいしい」をテーマにしたものや描写したものも、もちろんOKとのこと。
「おいしい」を描写していればファンタジーでもSFでも広く門戸をあけているこの「日本おいしい小説大賞」。
「おいしい」記憶は、味だけでなくその時の状況も含めての「食」から生まれるもの。自分の中の美味しい記憶を、文章中で自由に料理して最良の一皿、いや一編としてくれる大型新人が現れるか。
旅や温泉に美味しいものが欠かせない私たちにも気になる賞です。
(取材・文:川俣綾加)