2002年以来営業休止していた、湯河原温泉にある明治9年創業「富士屋旅館」が今年2月、リニューアルオープンしました。湯河原温泉を象徴する老舗富士屋旅館の復活がいま、注目を集めています。
写真:歴史ある建物の風情を残しつつリニューアルした富士屋旅館
大正時代の建築の風情が今によみがえる
写真:もっとも古い旧館の和室
梁や欄干、窓ガラスの一部を再活するなど、明治・大正時代の建物の雰囲気を残しつつ、リニューアルされた富士屋旅館。
新館・旧館・洛味荘の計3棟となっています。
座駅や縁側などの建具や、繊細な組子入り障子など、あちこちに大正時代の建築の面影が残されているんです。
この時代の建物は、最新のムダのない内装やインテリアとちがってとにかく装飾が凝っていたり、丁寧に作られていて、アートのように楽しめますよね。
もともと、湯河原温泉は、夏目漱石や芥川龍之介など、多くの文豪が訪れ、作品が生み出されていた場所。
そんな時代を彷彿とさせる、レトロな雰囲気を味わえる温泉地でもあります。
写真:洛味荘と旧館には部屋に温泉檜内風呂がついている
富士屋旅館の客室の中でも、最も古いものは大正2年に建てられた旧館。湯河原温泉が整備された時代に建設された、現在では貴重な建物だそうです。
旧館の客室にも、それぞれ檜のお風呂が設置されていて、部屋でも温泉を楽しむことができますよ。
そして旧館と廊下で繋がっているのが洛味荘。
こちらも、お城や寺社などに使われている格式の高い様式の天井が用いられているそうです。純和風な中にも雰囲気のある贅沢な客室。洛味荘4室にも温泉の檜風呂がついています。
また、洛味荘にはライブラリーもあり、レストランで飲み物を注文して、ゆっくり本を読みながら過ごす贅沢な時間も味わえそう。
写真:新館に新設された温泉大浴場は吹き抜けで開放感たっぷり
エントランス、ロビーのある新館は骨組みだけを残して新しく建て替えられました。新館には、2階部分を吹き抜けにした大浴場も新設。富士屋旅館にはもともと源泉があり、開放感溢れる大浴場のお湯は源泉かけ流しの温泉だそうです。弱アルカリ性で肌にやさしいお湯。温泉に入るだけで肌がモチモチツヤツヤになったとの声もあるほどの泉質だそうですよ。
客室8室には、和風な要素を残したスッキリとした洋室もあります。純和風な部屋も素敵ですが、オシャレな洋館にも泊まってみたくなりますね。家具は、アジアや欧米のアンティークも取り入れているそうで、異文化のコラボレーションも見どころの一つと言えそうです。
写真:大幅に改装された新館には洋室も
ランチでは一般開放もされている瓢六亭の食事も好評
写真:夕食では、小田原漁港で揚がったキンメダイのしゃぶしゃぶもいただける
レストラン瓢六亭での食事は、やはり地元小田原漁港で採れた魚介を使ったメニューが楽しみですね。他にも、鹿肉、猪、近江牛などを使った肉料理や、うなぎ料理も大変人気です。
滋賀の精肉店「サカエヤ」から仕入れた近江牛は、旨味が凝縮された赤身の美味しさが評判のようです。期間限定のジビエは、信用しているマタギ(漁師)から仕入れています。
四万十川で育った鰻を関東では珍しく、蒸さずに地焼きで提供しているのも特徴的。炭火で炙られていて、外側がパリッと香ばしく身は柔らかく、鰻本来の食感、旨味を味わえるのだそうです。
かなりこだわりのあるメニューばかりでリピートしたくなりそうですね。
瓢六亭での朝食メニューは小田原や伊豆で水揚げされた魚の焼き物、炊き立ての土鍋ごはん、厚焼き玉子、湯河原みかんジュースなど、「湯河原の朝」をしみじみと味わえるようになっています。朝食も大変好評なので、ゆっくりと味わってみてくださいね。
湯河原温泉の町歩きも楽しめる
写真:富士屋旅館を拠点にレトロな温泉街を散策
湯河原温泉では、温泉や海の幸とともに、レトロな町歩きも楽しみの一つ。
湯河原観光協会では、ガイドツアーも実施されているので参加してみるのもおすすめですよ。
そして、5月下旬からは、相模湾を望む星ケ山公園で、5万株のさつきを楽しめる、星ケ山公園さつきの郷(2019年5月25日~6月9日)も開催されます。
相模湾をバックに咲き誇るさつきのコントラストは見事!海を見ながらのウォーキングも楽しめます。
一年を通して温暖で風光明媚な湯河原。東京からも約1時間とアクセスも良いので、温泉や観光で気軽にリフレッシュしに行きたいですね!
(まとめ・文:mashiro)