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【焼酎新酒コラム3】芋焼酎の新酒が味わえる希少な宿・いぶすき秀水園宿泊レポ・前編

さて、そもそも今回の企画は「芋焼酎の新酒を楽しめる温泉宿」。
見つかった芋焼酎の新酒が楽しめる温泉宿4軒のうち、以前から泊まってみたかった指宿温泉にある「いぶすき秀水園」を実泊レポします。

地元「利右エ門」で有名な指宿酒造と関係が深い旅館で『プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選』の料理部門で32年連続1位を受賞。まさに新酒とお料理のマリアージュが特に楽しみなお宿です。

私が泊まった10月なかばは、残念ながら新酒は出していませんでしたが、11月から指宿酒造の新酒をチョイスできるようになるそうです。

着物のスタッフがたおやかに抹茶でお出迎え

期待にはやる気持ちが、予定していた時間より、少々早めに到着させてしまいました(笑
秀水園は、指宿名物の砂蒸し風呂の温泉館「砂楽」の斜め向かい、温泉通りの端のほうにあります。
玄関は通りから見ると裏手にあり、落ち着いた雰囲気です。

いぶすき秀水園 外観

時間前だというのに、駐車場にすでにスタッフが待機していて、荷物を玄関まで運んでくれます。
仕事抱えてきたのでパソコン入りの、重い荷物を軽々と。玄関では着物を着た女性が深々とお辞儀して迎えてくれます。九州ではめっきり少数派になった、由緒正しい日本旅館の流儀ですね。

重厚なインテリアの向こうに、窓一面に枯山水の庭園が展開、鹿児島らしい緑深い美しさで来客を癒してくれます。庭がよく見えるラウンジの席を勧められ、まずお抹茶とお菓子でおもてなし。

いぶすき秀水園 ラウンジ

玉砂利が敷かれた枯山水の庭園を眺めながら、ほっと一息。抹茶美味しい。南薩地方はお茶の一大産地なんですよね。ほっとします。

いぶすき秀水園 抹茶とお菓子

ただ……わたくしが不器用なのか、茶菓子をようじでうまく切ることができず、1/3分くらいをボロボロに粉砕してしまうというアクシデントが(笑)
スプーンがあればすくって食べたいところ、まさか、敷いてある紙を二つ折りにして粉薬みたいにザザーッと口に入れたらあかんよな。……フロントにも宿の方がいらっしゃるし。

かといってこの大量の菓子の粉を放置するのは、あまりにも不調法すぎる。
えーと、こういう場合どうするんだっけ。
30年も前にクラブで習った、茶道のマナーの記憶を必死で掘り出す。たしか、食べ残したお菓子は懐紙に包んで持ち帰ってもよかったはず。

ってことで、下に敷いてある紙で、粉々になったお菓子を包んでバッグに隠してことなきを得る。ふう。
ガサツな人間が、優雅な旅館に泊まると、ときどきスリルがあって、それもまたいとおかし(←ダジャレではありません)。

ラウンジには、島津家ゆかりの品々を展示するギャラリーコーナーが。西郷隆盛の肉筆もある。肉太で流々としていて、おおらかな感じの手跡です。

いぶすき秀水園 ギャラリー

WifiもOK。ベランダのウッドデッキが気持ちいいお部屋

じゅうぶんにゆったりさせてもらったあと、お部屋にご案内していただきます。
館内は少し複雑なつくり。ただ、廊下などに展示物などがあって、道すがらも地元の歴史や工芸品・自然などについて楽しみながら知識が深められるようになっています。骨董品の展示も。

いぶすき秀水園 館内イメージ画像

階段の上り下りが多少ありますが、不自由な方のために階段昇降機がしつらえてあるのもさすがですね。

フロントには懐かしいポストがあります。実際に使われています。

いぶすき秀水園 昔ながらのポスト

お値段比較的お手頃な一人旅プランでしたが、最上階の眺めのいいお部屋を用意してもらえました。お部屋は、縁側がついた10畳和室。スタンダードなお部屋ですが、入り口回りなどゆったりしています。

いぶすき秀水園 客室

道向かいの旅館が低くなっているあたりなので、錦江湾が望めます。ベランダは、ウッドテラスになっていて、ちょっと腰かけられます。

いぶすき秀水園 客室から海

海を眺められるこの空間、気持ちいい。朝が特によかったです。

いぶすき秀水園 客室玄関回り

使わなかったけれど、タイルのお風呂がついています。砂蒸しには浴衣で近道できるんだそうです。砂蒸し用のカゴも玄関に用意してあります。

本当だったら、まず温泉&砂蒸しといきたいところですが、なにせ新システムの開発中なわたくし。てんこ盛りの仕事を片付けなくてはなりません。
こんな素敵な旅館に泊まって、ノマドとは情けないですが仕方なし。なおノマドに嬉しいお部屋でWifi利用OKです。
2room_mix

濃い湯を楽しんだ後の、ところてんは必食のうまさ!

夕食近い時間、やっと仕事にカタがつき、温泉につかりにいくことができました。
旅館のお部屋でお仕事、終わって温泉ってちょっと昭和の売れっ子作家さんみたい、と自分を慰めます。
(そんな妄想が湧いてしまうような、端正な旅館なんですよ)

さて、秀水園のお風呂は、嬉しい源泉かけ流し。
海辺の温泉らしい、ナトリウム塩化物泉、成分総量5000㎎以上と濃い目の湯です。
脱衣所はタオル使い放題です。
「バスタオルはありませんので、必要でしたらお持ちくださいね」といわれていましたが浴室にあるタオルが厚めのいいものなので、髪の毛のタオルドライくらいだったら問題ないと思います。

いぶすき秀水園 温泉脱衣所

脱衣所には、冷たく冷やした漢方薬が用意されています。温泉で温まったところへ漢方薬って効きそう。食事前だったので、健胃系という「せんぶり」をいただきました。少々苦いけれど、それが効きそうです。

女湯は、広々としたぬるめ・あつめの湯船と水風呂・サウナ、そして外側に露天風呂があります。
湯口に結晶がつくほど濃い湯です。口にするとはっきりとしょっぱい。冬場はいかにも温まりそうな、透明ながら濃厚さを感じる泉質。保湿成分も豊富。眺望などはないのですが、このお湯は好きになってしまいました。

いぶすき秀水園 露天風呂

露天風呂から見上げると、暮れかけた青い空が細く見えています。頭寒足熱的な気温差がここちよくて、ここで長くお湯に浸かりました。
岩風呂にも写真のように成分がくっついています。間違いなく源泉かけ流しです。成分表に記載はなかったけれど、リチウムも多いのでは?と期待してしまいます。

いぶすき秀水園 露天風呂画像イメージ

時間があれば、こんな貸切風呂も利用できましたが、仕事に追われていた今回は断念。

いぶすき秀水園 貸切湯

風呂あがりに、との心づかいで、温泉の前に用意してあったのが「ところてん」。
夕食前だしな~、どうしよ。でもお腹すいているし!といただいてみる。これがものすごい絶品!
細目に切ってあるところてんは、しゃっきりつるり、今まで知らなかった食感です。
比較すると、今まで食べてきた普通のところてんは「ふにゃふにゃ」です。
あんまり美味しかったんで、売店のお姉さんにその感動を伝えると、嬉しそうに近くの「喜入(きいれ)」という町のお店のものであることを教えてくれました。
とはいえ生モノだから持ち帰りも取り寄せも難しそう……。

これは秀水園に泊まったら、絶対味わいたい珍味です。

後編はいよいよ、絶品料理と焼酎のコラボです。 後編はこちら

いぶすき秀水園   いぶすきしゅうすいえん

http://www.syusuien.co.jp/
鹿児島県指宿市湯の浜5丁目27-27
TEL 0993-23-4141

宿泊料金例)
1泊2食 2名1室の1名あたり
基本プラン(島津の棟10畳) 21600円
(消費税込・入湯税別)

標準チェックイン/アウト 14:00/10:30


 
【特別コラム】秋だけの「青い味」・芋焼酎の新酒を本場鹿児島で温泉とともに味わう

第1回 前書き 意外に少なすぎる!温泉宿で焼酎の新酒が味わえる宿

第2回 指宿酒造で訊いた新酒が旅をできないわけ・11月6日には新酒まつりも

第3回 芋焼酎の新酒が味わえる希少な宿の1つ・いぶすき秀水園宿泊レポ・前編

第4回 32年連続プロが選ぶNo.1のお料理はダシが絶品だった・芋焼酎とのマリアージュつまみは……いぶすき秀水園宿泊レポ・後編

第5回 温泉メッカ・霧島市にある小さな蔵の焼酎がずらりと並ぶ樋高酒店。芋焼酎の新酒をラーメンにたとえると?

第6回 日本一の品ぞろえ!鹿児島・天文館にある焼酎バー「礎」でついに焼酎を味わう

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