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神奈川・湯河原温泉「夢十夜」オープン!コロナ禍で廃業した老舗旅館を文学温泉旅館にリブランド

神奈川県湯河原町に、2022年10月にオープンした文学温泉旅館「湯河原温泉 夢十夜」。湯河原町といえば、夏目漱石や芥川龍之介、与謝野晶子、谷崎潤一郎など、日本を代表する文人たちが執筆や療養の時間を過ごした場所です。コロナ禍で惜しくも廃業した90年以上続いた老舗温泉旅館を、地域の特徴を生かしたコンセプトでリブランドした旅館をご紹介します。

写真:華やかな印象の明湯


 

文豪たちに愛された町・湯河原

90年以上続いた老舗温泉旅館のリブランの際に詰めたコンセプトが「」。湯河原町は夏目漱石芥川龍之介与謝野晶子谷崎潤一郎など、日本を代表する文人たちが執筆や療養のために過ごした場所です。

旅館名を「夢十夜」にした由来は、夏目漱石の10の不思議な夢を綴った短編集『夢十夜』から。

建築から料理に至るまで、どこか懐かしい空間と夢に浸ることができる温泉宿に生まれ変わりました。

写真:文学温泉旅館「湯河原温泉 夢十夜」の外観

「夢」×「文学」×「温泉」×「おもてなし」の形が「夢十夜」なのです。

文学があふれる館内!

湯河原温泉の発祥の地と呼ばれる湯元通りにある「夢十夜」。

館内には至るところに3500冊を超える本が並び、各所に文学があふれています。

写真:本に埋もれたセレクトショップでは、天井や壁からも本があふれています

白昼夢」と名付けられたライブラリー。ここには文学のほかに、マンガや雑誌、写真集など約300冊の本が並んでおり、ソファではなくベッドが用意されています。

ちなみに“白昼夢”とは“目を覚ましたまま幻想にふけること”で、とてもリラックスした体勢で本の世界を旅していたら、気付けばふわふわっと現実から遠ざかり、夢の中の散歩を楽しんでいる…。そんな体験ができるのです。

本を主役にした客室は全部で19室。テレビの代わりにおよそ100冊の本やハンモック、コーヒーミルなどがあり、古さと新しさをミックスした不思議な空間には、時間を忘れて読書に浸れる仕掛けがいろいろあります。

写真:当時の趣きと現代の感性が入り混じったロマンティックなスイートルーム

スイートルーム(定員4名)はとてもロマンチックなお部屋です。100余年前、漱石はここ湯河原で執筆をしていました。そのこともあって、100年の時を経て、ここに“百合”という部屋が誕生。

『第一夜』の中に「百年待っていて下さい」というセリフがあり、その後に百合の花が咲くのです。それがこの部屋名の由来です。

写真:スイートルームのバスタブとシャワールーム

コンセプトルーム(定員2~3名)は6室あり、昭和建築らしい間取りを生かした造りになっています。漱石の短篇集に散りばめられた「モナリサ」や「金魚」という言葉をテーマに名付けられました。読書が楽しくなる客室です。

写真:コンセプトルームのベッドルーム

コーナールーム(定員3名)は見晴らしのいい角部屋で、明るい窓際にはカラフルなハンモックが置かれ、本を読むのもよし、ボーっと夢を見るのもよし。山と空の移ろいが心地よさを誘います。

写真:ベッドの下にも本がいっぱい!

とにかく本を主役にした客室ばかりです。

レトロなステンドグラスの浴場

2つある浴場は、湯河原を舞台にした漱石の小説『明暗』にちなみ、「明湯」と「暗湯」と名付けました

「明湯」はパステルカラーのタイルや鮮やかなステンドグラスをあしらい、楽しい夢の断片を彷彿されます。

写真:夢心地の中で湯浴みが楽しめる「明湯」

「暗湯」は夜空に浮かぶ湯船をイメージした、モノトーンの落ち着きのある空間となっています。

写真:心落ち着く「暗湯」では、せせらぎの音の中、湯治場として愛された湯河原の湯を堪能できます

どちらの浴場もヒノキのベンチに腰掛けると映画館のような仕掛けがあるそうです。時間帯で男女入れ替えとなります。

テーマ性のある食事!

食事は、鏡の空間が無限に広がる、不思議な世界観の「レストラン燭(しょく)」で。

入口を入ると「ベストセラー作鹿(さっか)」である、“鹿”が出迎えるというユーモアたっぷりな演出が憎いです! 天井から降り注ぐ本のランプは、まるで夢の世界に来たような空間です。

写真:雰囲気のあるレストラン

提供する料理は、フランスでの料理経験を持つ総料理長が実際に地元の生産者を巡り、こだわり抜いた食材や全国の旬の食材を集めたイノベーティブフュージョンスタイルで楽しませます。

写真:目にも鮮やかなディナーコースの一例

朝食は和食、洋食、ヴィーガン(動物性食品を使わない料理)料理の3つから選べます。いずれも地元のフレッシュな食材を使用。窓から差し込む朝陽が、体を心地よく目覚めさせてくれます。

ほかにも、「夢商店」という売店は、“夢を持ち帰る”というコンセプトのセレクトショップです。本に埋もれたショップに、地元作家の手仕事の逸品や、湯河原特産の果物で作るジュースやジャム、自家焙煎のコーヒーやフレーバーポップコーンなど所狭しで並んでいます。

文豪たちも愛した湯河原

湯河原の入り組んだ路地には、明治や大正に建築された旅館が並び、湯煙が揺れています。民家の手入れが行き届いた庭も広がっています。たぶん、文豪たちがこの地を訪れていた頃とあまり変わっていないのかもしれません。

写真:万葉公園の滝

旅館から少し足を伸ばすと万葉公園不動滝といったマイナスイオンたっぷりの散策スポットがあり、季節や時間帯によって変化する自然の美しさは多くの人を魅了します。

どこまでが現実でどこまでが夢なのか。楽しい物語のその続きはご自分の手でめくってください。

(まとめ・文:吉川、編集:hotspring727)

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湯河原温泉 夢十夜

https://yumejuya.jp

所在地
神奈川県足柄下郡湯河原町宮上535 GoogleMAP
TEL:050-1791-5367

●宿泊について
宿泊料金例)1泊2食付きの2名1室の1名あたり
16,500円~(税サ込・入湯税別)

温泉利用時間
14:30〜0:00 6:00〜10:30

標準チェックイン/アウト
14:30/10:30


 
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