岐阜県高山市奥飛騨温泉郷にある「奥飛騨 薬師のゆ本陣」は、創業54年を超える温泉旅館。築数百年の庄屋を移築した玄関、鹿鳴館風の西館など、レトロな情緒にあふれた宿です。
写真：築数百年の庄屋を移築した「奥飛騨 薬師のゆ本陣」の外観
この旅館での名物は、「奥飛騨ソムリエ」による温泉語りべ講座＆ジオガイド。各種温泉資格を取得した石田会長が、さまざまな企画で宿泊客へ地域の魅力を伝えたり、健康に良い温泉入浴方法を伝えるなど、お客様をおもてなししています。
写真：奥飛騨ソムリエを務める石田会長
今年7・8月からは、８階建ての別館・麗嶺閣の屋上展望台にて、星空観賞、流星群眼視観賞、そして「月光浴」の新イベントを開催とのこと！
もちろん宿泊者は参加無料です。
月光浴ってどんなことをするんでしょう？「奥飛騨ソムリエ」石田会長にお話を伺いました。
—「奥飛騨 薬師のゆ本陣」での星空鑑賞は、どのように行っているのでしょうか？
「もともと、旅館の周辺は雄大な自然に囲まれていて、コンビニもありません。麗嶺閣から乗鞍岳の山肌まで、ずーっと星明かりで見渡せるくらいなんですよ。
写真：玄関上空に広がる明るい夜空。アルプスの山影がくっきり浮かび上がるという
最上階の展望所で、シートに寝転がります。カウントダウンで消灯しますと目の前は星空の世界です。そんな満天の星空を眺めるんです」
—建物の中で安心・安全ですし、気軽ですよね。そしてシートに寝っ転がるというのが素敵……
「はい、だいたい毎日20時30分頃から温泉語り部講座を行い、その後21時頃からご案内しています。ご参加の人数が多いときは順番にご案内することもありますが、だいたい10分前後眺めているだけで、流星を見つけることができますよ。雲のすじのような、流星の流れた跡が入り乱れて、それはそれは幻想的な光景が見られます」
—流星の流れた跡まで見える！それほど空が澄んでるんですね！ところで「月光浴」って、どんなことをするのでしょう？
「満月の前後は、月が明るすぎて星があまり見えないことがあるんですね。そういう時に、月の光を存分に浴びるように見ていると、なんともいえず癒される。『入浴』『森林浴』などと同様に、『月光浴』をみなさんに楽しんでもらえたらと、4〜5年前からご案内はしていたんです。今回新たに、ちゃんと告知し始めた感じですね」
—なるほど、「温泉かたりべ」として日々お客様に接しているうちに、生まれたアイデアなんですね。月光浴、多くの人は、日常では体験できない経験ですね！
「はい、温泉かたりべも流星観測も、泊まるだけでなく、心に残る旅にしてもらいたいと願ってサービスで行っています。星空の下で寝転がって流星を見た……という体験が、お客様の心に残れば、他の人へも伝えていただけるだろう、と。ゆくゆくは、奥飛騨の名物として『月光浴』が（ほかの施設でも）広まっていけば良いな、と願っています」
—月の光を浴びる、という感覚。ぜひ味わってみたいですね！ありがとうございました！
星空鑑賞は7月〜11月末まで開催（雨天中止／不定休）。宿泊の予約時に確認してみてくださいね。
なお、夜風に少し冷えたら温泉が楽しみ。
「奥飛騨 薬師のゆ本陣」の温泉は、敷地内から湧出するナトリウム炭酸水素塩温泉（療養泉）の「薬師温泉」、共同源泉から引く単純温泉の「新平湯温泉」2種類の源泉が楽しめるのが嬉しい！
写真：医王の湯。布袋様から出ている温泉水は県の認可を得ており飲用できる
写真：9月OPENの野天風呂・権現の湯。時間で男女入れ替えで楽しめる。
写真：貸切風呂でも湯を楽しめる。写真は貸切「日光の湯」専用上がり処（宿泊客が自由に利用・見学できる）
飛騨牛、飛騨サーモン、飛騨で育ったこしひかりなど地物食材を使った料理も一つ一つ手作りにこだわっています。囲炉裏の釣瓶にかかげる「蕎麦の実雑炊」なども人気メニューだそう。
写真：名物の蕎麦の実雑炊。素朴で滋味深い味。
人と人とのふれあい・語り合いで、記憶に残る旅を。
夏から秋にかけて、夜空がいっそう澄んでくる季節ですね。奥飛騨で出会う満天の星空、そして浴びるほど明るい月あかりは、いろいろと浄化してくれるでしょう。
（取材・文：前田ゆかり 情報更新：2019年8月）
写真：磨かれた手すりが風格ある西館ロビー
