北海道の高速道路が、エリアごとに定額で乗り降り自由(乗り放題)!ETC車対象の定額割引「北海道冬トクふりーぱす」が、今年も12月6日から発売になります(2020年4月6日までの期間限定)。
広い北海道、どこまでいったらモトをとれるのか?全市町村を走ったことがある道産子ライターが、検証しました!
無料で走れる高規格道路やICの近くの温泉、そして冬道の注意点など、プラスアルファの情報も盛りだくさんですよ♪
写真:灯りが浮かぶ小樽運河
乗り降り自由、直前の申込・解約もOKと、使い勝手の良い「北海道冬トクふりーぱす」
北海道冬トクふりーぱすは、冬のレジャーシーズンのお出かけがお得になるよう発売されました。
ETC車が対象で、道北プラン、道東プラン、道南プランの3つに分かれています。平日・休日を問わず、連続する2日または3日の間、プランごとに定められた対象のICが乗り降り自由となります。
遠くへ行くときはもちろん、近くへのドライブでも、何度も高速を乗り降りするならお得になるということですね!
3つのプランともに、新千歳空港ICから札幌を経由して、小樽ICや2018年12月8日開通の余市ICに至る区間が含まれています。
そして道北・道東・道南、全てのプランの価格は共通です。長期間の旅行であれば、各プランを組み合わせてもOK!
高速道路の走行前であれば、直前の申し込みや解約が可能です。天候にあわせて、スケジュールを見直すことが多い冬の北海道では、嬉しい使い勝手のよさですね。
札幌・新千歳空港ICからの往復で、お得になる行き先を検証
おんせんニュースでは、札幌の札幌ICまたは札幌南IC及び新千歳空港ICの2か所を発着地とし、どこまで行ったらモトがとれるかを検証しました。普通自動車で2日間、6,100円の価格で単純往復した場合の各プランを対象としています。
また、高速道路の料金体系はつぎの2つに分かれています。
・通常料金:祝日を除く、月曜から金曜の朝4時~深夜0時
・3割引の深夜・休日割引料金:深夜0時~朝4時までと、普通車・軽自動車・二輪車等の土日祝日の全日
このため、今回の検証結果は、平日と休日を組み合わせて使ったり、日中と深夜をまたいで走行する場合には当てはまらないので、ご注意ください。
また、ETCマイレージサービスの登録による朝夕割引は、この検証では勘案していません。
それでは、各プランのエリアとともに、検証結果を見ていきましょう!
道北プランは、美瑛・富良野、旭川方面、さらに美深や遠軽まで
道北プランの乗り放題エリアは、道央自動車道の深川西ICや士別剣淵(しべつけんぶち)ICまでの区間。
士別剣淵ICの先は美深北(びふかきた)ICまでが無料区間として開通しています。また、旭川鷹栖(あさひかわたかす)ICからみて2つ目の比布(ぴっぷ)JCTからは、旭川紋別自動車道の遠軽瀬戸瀬(えんがるせとせ)ICまでが無料で走れます(2019年12月21日に遠軽ICまで開通です)。
旭川空港を利用するならば、このパスに含まれる道央自動車道の旭川鷹栖ICが最寄りのICになりますね。
道北プラン:新千歳空港ICからモトをとるのは
●休日・深夜なら旭川鷹栖IC以遠
新千歳空港ICから旭川鷹栖ICまでは、往復6,740円。
旭川鷹栖ICからは札幌に次ぐ北海道第2の中核市・旭川があります。旭川といえば、旭山動物園が有名ですね。旭川鷹栖ICからは約20㎞、30分で到着です。ペンギンやアザラシ、ホッキョクグマなど人気者がいっぱい!
また、穴場の施設としては、雪の美術館もオススメです。北海道の中でも雪の多い旭川ならではの雪をテーマにした美しいファンタジックな美術館です。
お腹が空いた人には旭川ラーメンはいかが? 旭川ラーメンの特徴は、魚介類のだしと、豚骨や鶏ガラ、野菜のだしで作るWスープで醤油ダレが多く、市内には旭川ラーメンのお店が点在します。
●平日は奈井江砂川IC以遠
新千歳空港ICから奈井江砂川(ないえすながわ)ICまでは、往復6,800円。
砂川といえば、国道12号線沿いにあるすながわスイートロードに立ち寄るのをおススメします。物産展で有名なバームクーヘンの北菓楼・砂川本店や、多い時には日に2000個も売れるという焼き立てのアップルパイが楽しめるナカヤなど、魅力的なお店が並びます。
道北プラン:札幌ICからモトをとるには
●平日は旭川鷹栖IC以遠
札幌ICから旭川鷹栖ICまでは、往復6,760円。ちなみにひとつ前の深川ICだと5,660円で、もしも単純往復だけならパスの方が少しだけ割高になります。
日本夜景遺産に選出された氷瀑まつりで知られる層雲峡(そううんきょう)は、無料の旭川紋別自動車道に入り、上川層雲峡ICで降りた先となります。
写真:旭川では、迫力あるホッキョクグマに会えるかも
道東プランは、十勝の本別・足寄方面、さらに阿寒まで
道東プランの乗り放題エリアは、札幌・新千歳空港から、道東自動車道の本別(ほんべつ)IC・足寄(あしょろ)ICまでの区間が対象です。なお、本別ICの先は無料区間の自動車道に接続し、阿寒(あかん)ICまで開通しています。
釧路空港を利用するならば、阿寒ICが空港最寄りのICとなります。
帯広空港を利用する場合は、帯広JCTで接続する、無料の帯広・広尾自動車道にある幸福ICが、空港の最寄りICとなるでしょう。
道東プラン:新千歳空港・札幌南ICからモトをとるのは
●休日・深夜は池田IC以遠
帯広音更ICまでは、新千歳空港ICから往復6,560円、札幌南ICからは、往復6,940円。
池田町といえば、十勝ワインが有名です。十勝ワインは1963年、全国で初めての自治体経営ワイナリーとして誕生し、現在では、国内外で高く評価されています。
池田町から帯広へは約20キロ、30分で到着します。帯広市内では、六花亭をはじめとするスウィーツや、炭火で焼いた香ばしい豚丼などが味わえます。
写真:タンチョウヅルは、冬の阿寒や釧路湿原に優雅に舞う
●平日はトマムIC以遠
トマムICまでは、新千歳空港ICから往復6,220円。札幌南ICからは、往復6,760円。
スノーアクティビティを楽しむ人が集うトマム。ひなびた温泉好きには、少し山奥に入りますが、オソウシ温泉まで足をのばしてみるのもお勧めです。
道南プランは、東は沼ノ端、南は大沼公園や函館空港の近くまで
道南プランの乗り放題エリアは、札幌・新千歳空港から、東は沼ノ端西(ぬまのはたにし)IC、南は大沼公園ICまでの区間が対象です。
なお、大沼公園ICの先は無料の赤川ICまでが開通しています。
函館空港を利用する方は、10キロほど離れてはいますが、赤川ICが空港最寄りのICとなるでしょう。赤川ICを北へ向かうと、一部一般道を経由して、大沼公園ICから有料の道央自動車道に接続します。
道南プラン:札幌南ICからモトをとるのは
●休日・深夜は長万部JC以遠
札幌南ICから長万部(おしゃまんべ)JCまでは、往復6,460円。
長万部ICは、持ち帰りもできるかに飯で有名。源泉かけ流しの長万部温泉ホテルには、1泊2食1万円以下で、ひとり一杯の毛ガニと豪華な海の幸の夕食がいただけるプランもありますよ!
●平日は室蘭IC以遠
札幌南ICから室蘭(むろらん)ICまでは、往復6,240円。
室蘭は港町ならではの美しい明かりと、最近は工場夜景で有名です。港の周辺には鉄鋼業や造船業、製油所などの大規模工場をはじめ、中小の工場が立ち並んでいます。夜のとばりが下りると、工場の安全管理のために明るい照明が点灯されるため、まるでSF世界のような独特の夜景が広がります。最近はこの夜景を見るツアーもいろいろあります。
約20キロ、30分ほどで9種類の湯が湧く登別温泉に行けます。熱気で雪も溶ける地獄谷は、爆裂した火山の跡。揺らめく鬼火が、訪れる人を誘います。
道南プラン:新千歳空港からモトをとるのは
●休日・深夜は八雲IC以遠
新千歳空港ICから八雲(やくも)ICまでは、往復6,500円。
八雲ICからは、9万坪の敷地に隠し湯が点在する、銀婚湯にアクセスできます。隠し湯に入れるのは、宿泊客のみ。泊まってゆっくりとしたいですね。
●平日は豊浦IC以遠
新千歳空港ICから豊浦(とようら)ICまでは、往復6,580円。
豊浦ICから15キロのところに洞爺湖があります。冬の洞爺湖は、きらめくイルミネーションに彩られます。また、寒い朝に近くのオロフレ峠を走れば、陽光にきらめく自然のイルミネーション、樹氷が見られるかもしれません。
写真:雪の白と湖や空の青とのコントラストが美しい洞爺湖
写真:世界三大夜景のひとつともいわれる、函館の夜
北海道冬トクふりーぱすを利用するときの注意点
北海道冬トクふりーぱすは、申し込んだプランの対象ICのからはみ出てしまうと、エリア外の走行については対象プランのICからの通常料金が請求されます。このため、うっかり乗り過ごしてしまわないように注意が必要です。
また、あらかじめ複数のプランを申し込んでいる場合には、お得になるほど利用しなかったエリアについても、対象となるICを超えた時点で該当プランの料金が請求されてしまいます。事前に通常走行と北海道トク冬ふりーぱす利用のどちらがお得かを検討して、不要なプランについては申し込まないようにしましょう。
ルートや料金は、ネクスコ東日本のサイトで検索できます。
→http://www.driveplaza.com/traffic/
思わぬ危険がある冬道に注意!
ところで、冬の北海道初心者や、雪の降る地方の高速道路を走ったことがない方にとって心配なのは、道路の状態ですよね。
冬の北海道の一般道は、雪に覆われているのが通常です。しかし、こまめに除雪が行われる高速道路は、路面が出ていることも多々あります。
写真:一部の路面が露出し、比較的走りやすい高速道路
とはいえ、油断は禁物です。
路面が乾いていると思っていたら、突然つるつるに凍結した路面が出現することもあるのです。ブラックアイスバーンといわれる凍結路面は、白くなった路面よりも滑りやすく、ハンドル操作が効かなくなることもあるので、注意が必要です。
特に急ハンドルや急ブレーキは、とても危険。
万が一、ハンドルがとられてしまっても、ブレーキを踏むのは危険です。ブレーキを踏むとさらにハンドルが効かなくなり、車がスピンする可能性も。
落ち着いてアクセルから足を離し、タイヤが向かう方向の反対にごく軽くハンドルを切りながら、スピードが落ちるのを待ちます。うまくいけば何かにぶつかる前に、ハンドル操作ができるようになるか、自然に停車するでしょう。
また、冬道の走行は、スケジュール通りにいかないことがままあります。
たとえば大雪や吹雪で視界が悪くなると、50~80km/h程度の速度規制がかかったり、通行ができなくなったりもします。
また、通常は通行量の少ない夜間に行われる除雪作業ですが、一度にたくさんの雪が降ると、日中にも除雪が行われることがあります。
除雪車は、およそ40~50km/h程度の速度で走行します。このため一車線の道路だと、除雪車が退避できる路肩があるところまで、ノロノロ運転が続くこともあります。
写真:高速道路の除雪風景
夏道以上にスピードが出せない一般道と比べ、冬こそ、よりスムーズな移動が可能になる高速道路ですが、このような予想外のアクシデントにより、予定がずれ込むことも多いのです。
冬道には、焦りは禁物。また、日が出ていない時間帯は、道路も凍結し、スリップの危険性が高まります。余裕を持ったスケジュールを心がけましょう。
2日、3日、さらにもっとと、ゆったりとしたスケジュールで広い北海道を回れる、北海道冬トクふりーぱす。走りたいルートに合ったプランを選んで、ぜひ冬の北海道をお得に、そして安全に旅してくださいね♪
(取材・文:なかおかともみ 情報更新:吉川 2019年11月更新)