立体感のある建物が温泉街の歴史的景観の核をなしているとして、奥津温泉の名泉鍵湯 奥津荘が国の登録有形文化財(建造物)となっています。9月には、各宿泊予約サイトの岡山応援クーポンと鏡野町の宿泊割引クーポンを使えば、Wでお得に泊まれるという奥津荘。ぜひお早めに、チェックしてみてくださいね!
江戸時代、津山藩主の森忠政がこの湯を気に入ったあまり、部外者が利用できないよう浴場に鍵をかけたというのが、鍵湯の名の由来です。
そんないわれのあるこの宿では、この地を愛した世界的版画家の棟方志功が残した作品や、昭和に名を残す政治家の揮毫にも触れることができます。
写真:しっとりと佇む奥津荘の夕景
温泉街の歴史的景観の核をなす奥津荘
「唐破風の玄関上に大屋根の妻面を重ね,一階全面に並んだ格子や出桁造りの深い軒など立体感のある外観で,温泉街の歴史的景観の核をなしている」(文化庁の登録有形文化財(建造物)の登録資料より)。
奥津温泉中心部にある総二階建ての木造旅館の奥津荘は、このような理由を述べて、国の登録有形文化財(建造物)への申請をしました。
写真:唐破風の玄関上に大屋根の妻面を重ねた、立体感のある外観の正面
国の登録有形文化財(建造物)とは、貴重な文化財建造物を守り、地域の資産として生かすための制度です。原則として建設後50年を経過したもののうち、つぎの3つのいずれかにあてはまるものが対象となります。
① 国土の歴史的景観に寄与しているもの
② 造形の規範となっているもの
③ 再現することが容易でないもの
奥津荘はこの①にあたるとして、2018年7月に文化審議会での答申が行われ、官報告示を経て決定することとなっています。
写真:館内に飾られた棟方志功の画
この登録には、数多くの資料が必要となります。幸い、5・6年前に実施された県内の近代建築の調査の際の資料が残っており、また鏡野町生涯学習課の日下さんによる昭和初期の建築当時の新聞の提供などの協力を得られたおかげで、比較的スムーズに作業を進めることができました。
一番苦労したのは、図面の用意でした。50年くらい前の建物であれば図面が残っていますが、奥津荘が建てられた90年前頃は、大工の技術と経験で建てられていた時代のため、図面がありません。既に登録された旅館の方に尋ねながら代わりとなる資料を用意し、ほぼ一年がかりで登録となりました。
足元から新鮮な湯が湧きだす湯船
奥津荘の鍵湯と立湯は、源泉かけ流しの湯ならぬ、足元湧出の湯。
離れたところにある源泉からパイプなどを使ってお湯を運び、湯船に注ぎ続けるのが源泉かけ流しの温泉です。対して足元湧出とは、湯量と湯温のバランスが良く、かつ源泉そのものの上に湯船が作られたため、噴き出している源泉に直接浸かることができるという貴重な温泉で、これは全国で20~30カ所程度しかないと言われています。
奥津荘では、自噴する毎分247Lもの豊富な湯量に恵まれ、すべての湯船で加水や加温、循環をせずに、こんこんと湧き出る新鮮な4つの湯を愉しむことができます。
写真:自噴し、120㎝下の湯船の底まで透き通ってみえる新鮮な湯
足元湧出の湯船である鍵湯と立湯は、もともとは吉井川の一部でした。自然な流れが削った川底が、そのまま湯船の底として使われているのが特徴です。
鍵湯では、滑らかに削られた大きな石が、ごろごろと顔をのぞかせています。
写真:津山藩主の森忠政が浴場に鍵をかけたという鍵湯
一方の立湯は、岩のくぼみを活かして作られており、深いところでは120㎝ほどもある文字通り立ったまま入浴できるお湯となっています。
写真:岩のくぼみを活かして作られた、深みのある立湯
この二つのお湯は、朝と夜の8時に男湯と女湯が入れ替えられるため、宿泊すると趣向の異なる二つの湯船を味わえます。
さらに川の湯と泉の湯の二つの湯が、24時間いつでも貸切で利用できます。
写真:吉井川のせせらぎを望む川の湯
泉の湯の湯船の底は、タイルで平らに作られています。足元が心配な方も、安心して入ることができますね。
写真:ステンドグラスが美しい泉の湯は、一番の湯量を誇る湯
日本の旅館でゆったりとした時の流れを味わう
奥津荘を国の登録有形文化財(建造物)に登録した理由の一つには、2020年に開催されるオリンピック・パラリンピックに向け、全国にある登録有形文化財の旅館が連帯し、国内外に広くPRしたいという願いがあります。
その背景には、民泊の普及とともにマンションの一室までが旅館と称され、日本の宿泊施設=旅館という誤解を招きかねない状況に対する違和感がありました。また、登録有形文化財である旅館は120軒ほどあるのに、実際に営業しているのは約半数。経営者の高齢化により、保存のみで活用がされていないという実情もあります。
その現状を憂えた奥津荘当主の鈴木さんは、登録有形文化財の対象となる築50年、100年の旅館に声をかけ、登録を推進しはじめました。そのような旅館が100軒も集まれば、旅館というブランドを確立するための大きな力となる。政府観光局などと協力して、トラディッショナルな旅館に泊まりたい、という方に情報提供ができれば、昔ながらの旅館の周知と活用をより進めることができる。
そして何よりも、多くの方に伝統的な日本の旅館に滞在していただき、歴史を感じながらゆったりとした時の流れを味わってほしい。
鈴木さんからは、旅館という言葉にこめられたそんな熱い思いが伝わってきました。
写真:犬養元首相の揮毫に重厚な歴史を感じるゆったりとした部屋
泊まって岡山復興に貢献!応援割引クーポン
この由緒ある奥津荘に、9月29(土)までは各宿泊予約サイトの岡山応援クーポンと鏡野町の宿泊割引クーポンを使って、Wでお得に泊まれます!
① 宿泊予約サイト(楽天トラベル・じゃらん・るるぶ等)でクーポンを利用して予約
② 鏡野町のホームページ内の申請フォームからクーポンを申込む
という流れが、9月は一番お得な予約方法となります。
但し、鏡野町の宿泊割引クーポンは先着600人限定ですので、ご利用はお早めに。
クーポンの詳しいご利用方法は、各宿泊予約サイトと、鏡野町のかがみの旅とくらしサイトからご確認くださいね。
また、奥津荘からのお知らせは、公式サイトの最新情報から。
空室情報や楽しいキャンペーンなどがチェックできますよ♪
(取材・文:なかおかともみ)
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名泉鍵湯 奥津荘
http://www.okutsuso.com/
〒708-0503
所在地:岡山県苫田郡鏡野町奥津48
GoogleMAP
TEL:0868-52-0021(受付時間:9:00~21:00)
●日帰り利用について
・温泉日帰り利用
立ち寄り湯:10:45~14:30(最終受付時間:14:00)
定休日:不定休
・入浴料:
大人:1000円 子供:500円 2才未満無料
貸切風呂:泉の湯+1,000円/組(入浴時間60分)
※タオルは、1枚200円でご購入いただけます
・日帰りプラン
17:00~21:00に入浴ができる夕食付プランあり
前日までの電話予約が必要。詳細はホームページへ
●宿泊について
・宿泊料金例
1泊2食付 1室1名あたり
平日=22,680円~31,320円(税・サ込、入湯税別)
休前日=25,920円~34,560円(税・サ込、入湯税別)
※その他、特別料金日あり
公式ホームページまたはお電話からの予約が一番お得に利用できます
・宿泊者の温泉入浴時間
鍵湯・立湯:毎朝8時に男湯と女湯の入れ替えあり
川の湯・泉の湯: 24時間利用可能の貸切風呂
標準チェックイン/アウト
15:00/10:00
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