2018年6月、旧井関小学校敷地内に「神石高原温泉(じんせきこうげんおんせん)」が新しくオープンし新しいスポットとして注目を集めています。ところが、この源泉は実は24年も前に発見されたまま、いつしか忘れ去られた幻の温泉だったのです。一体どんなストーリーがあったのでしょうか?早速追ってみましょう。
写真:2018年6月3日オープン。廃校になった小学校跡地を活用。
話しは1994年に遡ります。水道工事の為の掘削工事を行い、湧水の水質検査をしたところ所温泉成分のある事が分かりました。神石高原温泉のある現在の広島県神石高原町の、統合前の名前が三和町だった為、「さんわ温泉」と呼ばれていました。ここから温泉施設の計画が始まります。
ところが諸事情により、健康増進施設の設置計画が中止となり、町として民間施設の誘致等を行いましが、土地の問題などによりこちらも失敗に終わりました。そして2004年、合併して神石高原町になると、温泉についても次第に忘れ去れるようになります。
写真:定員は男性・女性各10名ほど。
再び温泉について議会で取り上げられ、活用の運気が高まるのが2013年頃からです。温泉の再調査が行われ、温泉の利用について基本構想がまとめ始められます。
その時、温泉施設の場所として選ばれたのが、源泉から1200m離れた場所にある廃校になった旧井関小学校でした。地元の人たちが、廃れて荒れていく学校の姿を見るに忍びなく、何とか有効活用したいとの気持ちからでした。現在「学校食堂」として一部校舎が利用されていますが、まずで2016年には源泉からの配管が完了し、学校食堂で自由に汲み取りができる様になりました。汲み取りは無料です。そしてその2年後の2018年6月、ついに「神石高原温泉」として温泉施設が完成したのです。
写真:お風呂上りのリラックススペース。
さて、その神石高原温泉ですが、泉質などはどうなのでしょうか?神石高原温泉の泉質は単純弱放射能温泉で乳白色の湯。ラドンの含有率が高いのが特徴です。疲労回復・健康増進などに加え、ラドンのイオン化作用により、体を温め細胞の新陳代謝を促すので、アンチエイジングやデトックスの効果が期待できます。効能は、高尿酸血症(痛風)、関節リウマチ、強直性脊椎炎など。
また、美肌の湯といわれる有名な温泉と成分比率が似ており、美肌成分のメタケイ酸の含有率も高く、こちらの温泉を使った温泉化粧水「さんわ温泉まぼろしの雫ミスト」は「化粧の下地がいらない」と女性に大変好評で、リピートして買う人が多いとの事です。
写真:お化粧の下地いらずと好評です。
この神石高原温泉については、地域住民自らの手で立ち上げた「神石高原温泉利用組合」で運営されています。資金についても1口10万円で町内外の個人や企業から出資を募り、建設費約4300万円を調達しています。ただの商業施設ではなく、地域と活性化と旧施設の活用、50年100年後を見据えて地域が元気になっていけるようにというコンセプトなんだそうです。
お隣の学校食堂では、ヤギやポニーが出迎えてくれ、昭和にタイムスリップした様な木造の校舎の中でランチをいただく事もできますよ。昭和をリアルタイムに過ごした方には懐かしさがこみ上げてくるものがあり、逆に若い方には新しい発見があるのかも?温泉のついでに是非こちらも行ってみたいですね。
(記事作成・更新:すてぃーぶん 記事確認2019年11月)