東北きっての神秘的な光景、「八幡平(はちまんたい)ドラゴンアイ」をご存知でしょうか?
例年5月中旬〜6月中旬に見頃になる可能性が高い、鏡沼で溶けた雪と氷が竜の青い瞳のように見える絶景です。今日(2019年6月7日)現在、今年の見ごろを迎えています。
そんな八幡平にある松川温泉で、世界でも類まれな地熱を使った染色技法が生まれました。
旅行者向けに染色体験や販売も行っているようです!
写真:例年5月中旬〜6月中旬に見頃を迎える可能性が高いとされるドラゴンアイ
※おんせんニュースのなかでも絶大な人気!【岩手】八幡平に現れる青いドラゴンアイ。運が良ければ出会える神秘的な龍の瞳。無料ガイドも! 5月下旬~6月上旬
写真:ドラゴンアイをイメージした作品の数々(八幡平限定商品)。絶妙な色合いの染色技術で実現した
この地熱染色の最大の特徴は、地熱の蒸気を使って染め上げるということ。
どんなきっかけでそのような技法が生まれたのか、地熱染色研究所の高橋一行さんにお話を伺いました。
写真:高橋さんが活動している工房夢蒸染(普段は工房とワークショップ用の教室になっているため見学は不可)
写真:染色に使う釜。地熱蒸気の熱で染料の色を生地に定着させる
「染色に使っている釜は、実はだいぶ前からもともとあったものなんです。」
地熱染色を行っている松川温泉は、国内初の地熱発電発祥の地とされています。
温泉開発のために調査したところ、お湯ではなく蒸気が噴出したことから1966年に松川地熱発電所ができたそうです。
その地熱蒸気を発電以外にも活用すべく、当時の松尾村(現八幡平市)が染色用の釜も制作したものの、短期間では産業として定着ならず放置されていました。
1970年代中頃(昭和50年代前半)に高橋さんのお母様の高橋陽子さんが生地を染める試みを始めましたが、蒸気の成分である硫化水素の脱色作用で、うまく染め上がらなかったようです。
その硫化水素の脱色作用を絞り染めに利用することで独特の色合いやグラデーションが生まれることを見出し、高橋さんが試行錯誤を重ねて確立したのが、この地熱染色技術。
「いや、いまでも試行錯誤を続けているんです。染料の色と色の組み合わせ、蒸気で熱を加える時間、使用する生地によっても一つ一つ違うので。」
染色工房の名称が地熱染色研究所というのも、納得です。
写真:15色ほどの染料を使い、丹念に染めていく
写真:蒸気の熱による染料の定着と、硫化水素による脱色作用により地熱染め独特のグラデーションに染め上がる
高橋さんは、現在の工房で作家として活動しつつ、個人の観光客にも楽しんでもらえるよう、染色体験を月に2日程度限定で行っています。
写真:工房の真向かいの直営店のアルペンローゼにて作品展示と工程など説明を行っている。
電話口、事務所等もアルペンローゼ内にある
染色体験では、絞りの工程と、着色の工程を体験できます(所要40分程度)。その後窯入れをして20〜30分蒸し上げ、工房の方で八幡平の天然水で洗い、アイロンをかけて乾かします。
作り始めてから、およそ2時間〜2時間30分で完成。
窯入れ後、出来上がるまで近隣エリアを観光したり、松川温泉の入浴なども楽しんで、帰りに工房に寄って受け取ることも可能です。
染色工程については、ホームページにも詳しく掲載されています。
「私の作品は、工房のある八幡平・松川温泉周辺の自然の色彩からインスピレーションを得てデザインしています。観光で来られた方も、八幡平の自然や松川温泉と合わせて、五感で楽しんでもらえたら嬉しいです」
地熱の蒸気を使い、自然の色をデザインに生かした作品は、まさに大地の恵みのそのもの。手作りのため色合いや染まり方も一つ一つ異なり、すべて一点ものなので、愛着も湧きそうですね。
写真:早春のさわやかなカラーにインスパイアされた縞ショールは涼やかで夏にも活躍しそう
写真:周辺の自然の色を作品のイメージに重ねて
写真:秋の紅葉をイメージしたショール
写真:美しい紅葉の中にあるアルペンローゼ
直営店アルペンローゼ等で販売もしていて、絞り染めハンカチ1404円〜は気軽なお土産にぴったり。透明感のある縞ショールは1万4580円〜。
体験はじゃらんネットから申し込み可能です。
8・9月以降は、詳細未定のため未掲載ですが、決まり次第ホームページ等に掲載されるのでチェックしてみてくださいね。
(まとめ・文:前田)