露天風呂付客室の最終進化型をうたう温泉宿が和歌山県は白浜・椿温泉に昨年2017年8月にOPENしました。XYZプライベートスパ&リゾート(※以下、白浜XYZと略します)です。
今回は、そんなXYZに泊まってきました。
ここ白浜XYZは全室露天風呂付客室ばかり16室。全室から美しい浜から太平洋のまさにオーシャンビューが望めます。
絶景の全室露天風呂付客室というと、豪華で高価なセレブ御用達宿。我ら庶民は記念日しか縁がない……そんなイメージですよね(少なくとも私はそうです)。
ですがこの白浜XYZはぐっとカジュアルな雰囲気で、そんな固定概念を壊してくれる宿。料金も2万未満で、気軽に絶景露天風呂付客室を楽しんでもらおうというコンセプトになっています。ゆえにうやうやしいサービスとか、高価な調度品とかはありません。それを期待していくと肩透かしを食らうことになります。
そう、ここはちょっと珍しいカジュアルな露天風呂付客室のお宿なのです。おっと、白浜XYZの最終進化型はそこじゃない(笑)
ここのすごさを動画で見てください(て、おんせんニュースのFacebookで先に投稿してますけれど笑)
ねー!すごいでしょー!露天風呂の壁と屋根が、リモコンで自由自在に開け閉めできるのです。チェックイン時に閉まっている壁と屋根が、ガー…と開いて海が目の前に現れる瞬間!感動します。
宿から見える範囲に宿以外の人工物はまったくなく、目の前の静かな浜と遥か彼方の水平線だけ。
なお、今回宿泊させてもらったシーサイドウイングの客室から波打ち際までわずか10mちょいという距離感、露天風呂付きの客室でここまで波打ち際に近いのは珍しいと思います。
この開閉式の露天風呂、オーナーの金田(きんた)さんのアイデア。趣味のスポーツカーで、ルーフの開閉で思いついたとのことです。
お客様のさまざまなニーズにあわせたいというオーナーの願いが形になったのがこの自動開閉式の露天風呂なのです。
露天風呂は悪天候時は利用しにくいものですね。それゆえに、客室露天風呂の場合、開口部が少ない半露天を採用している宿も多いのですが、金田さんはそれはしたくなかったといいます。
この素晴らしい景色は、半露天ではなくぜひ頭まで開放的な露天風呂で楽しんでほしいというこだわりがあるのです。
「ここは晴れていれば星空がものすごく明るいんですよ。星の海に水平線が浮かび上がるんです。そんな体験をぜひお客様にしていただきたい」
かといって星空を真上に楽しめるような本物の露天風呂だと、雨の場合は雨ももろにかぶってしまいます。
雨で露天風呂が使えなかった場合、国内のお客さんならもう一度別の機会に、となるところですが、海外のお客様の場合は再訪はなかなか難しい。。。
晴れているときは開放的な露天で、雨のときだけ屋根付きで。そんな願いをかなえたのが、車のルーフのような、この開閉式の露天風呂なんですね!
開閉式の露天風呂はリモコンで簡単に操作できるため、さまざまな使い道があります。
まず、寒いとき。最初は壁と屋根を閉じて内湯状態にしておいて、湯船で温まったら開けるというやり方。体に負担が少なくなるでしょう。
また、いくら人がいないといっても、女性なら視線を警戒しちゃうものですね。まずは胸以上の高さに壁をあげておいて、湯船に入って体が湯の中に隠れたら、壁を下げて絶景を楽しむというやり方。私はこれをやりました。
湯に浸かりながら壁が下がっていくのを見るのは本当に楽しい!
(ただし、ついつい楽しくなっちゃて何度も繰り返し開閉するのは控えましょう)
この開閉できる露天風呂は広いテラスになっていて、それぞれに違うラタンの家具が置いてあります。
バリ島の職人に直発注したというこのカラフルなラタン家具があちこちに見られます。照明などもこのラタンで作られており、ちょっとしたアートのようです。浜に置かれたデッキチェアなどは硬さと弾力がちょうどいい塩梅でなかなか居心地がよかったです。
取材ということで他のお部屋も見せてもらいました。
白浜XYZのお部屋はそれぞれテーマカラーで統一されています。赤・黄(ゴールド)・青・白(シルバー)。赤い部屋はすごい!壁をあげると赤い壁に太陽が透けて部屋中真っ赤。思わず「シャア専用ルームですね……」と呟くオタクな私(笑)。
ここはやはり海の近くということで青い部屋が人気だそう。私も青い部屋に泊まりましたが、波音が聞こえる水族館のようでなかなか幻想的でしたよ。
夕食はレストランで炭火を使ったコースディナーをいただきます。
このレストランもカジュアルで気さくな雰囲気。気温があがってくると天井が開いてオープンエアになります。
その日のメニューは、紀州梅マダイのカルパッチオから。紀州梅マダイは餌として梅を与えた鯛。さっぱりして美味。
炭火でぐつぐつ煮たソースに野菜をくぐらせるバーニャカウダに、フランスパンを炭火で好みで炙るアヒージョと続きます(アヒージョが特に好き!)。
メインはA5ランクの和牛の炭火焼き。たっぷりの量が用意されるのが嬉しい!炭火で好きな加減で焼いてとろける柔らかさを味わいます。
最後は炭火の上に置いた鉄鍋で香ばしいおこげをつくる釜めし。かわいいデザートで〆ます。
夜は曇る予報でしたが、運よく天気の崩れが遅れて、食後は星空の露天風呂が楽しめました。壁を一番下まで下げて湯船にのんびりつかって流れ星を探します。
湯船に満ちるのは椿温泉の湯。冷泉なので加温しているとのことでしたが、とても柔らかい湯になごみます。ちょっととろみを感じるようなよく温まるお湯はPH9台とのことです。
湯船でぬくもっていると、オーナーがいったとおりの星空に浮かび上がる水平線。そこにときおり小さく船が行くのが見えます。ここの沖合は航路にあたるのでしょうか。
星のような小さな灯りをともして、音もなく水平線をなぞっていく船。それだけが時を告げる湯。……癒されます。
壁に透ける青の中で目覚めた朝は雨。(最近、取材の翌日は必ず雨だな……)。
朝食は昨日のレストランにて。雨空を透かす屋根に響く雨音とボサノバの妙。雨宿りのカフェの風情の朝食、私は楽しかったです。温泉コーヒーが一層美味しかった。
そして、屋根が閉まるありがたみを満喫しての朝風呂。屋根だけ閉めて、壁はすべておろして楽しみます。こうすると雨の海も悪くない。わざわざ台風の露天風呂を体験したいとやってきたお客もいた、というオーナーの話を思いだします。
今日はそんなに荒れてないけれど、波打ち際の雨の風景も、人生そう何回も体験するものではない。こうやって湯船から見渡すのも珍しい体験だな、とのんびりできるのも開閉式の露天のだいご味でしょう。
他の季節や違う天候下での露天風呂をまた体験したいと思ったら、すぐ来れる気楽な雰囲気と安価な料金。全天候で素晴らしい絶景の露天風呂付の客室。
それこそがオーナーの目指したこだわり……行きつくところ「XYZ」なのです。
(取材・文:おんせんニュース中の人)
http://xyzresort.xyz/
和歌山県西牟婁郡白浜町椿1065-3 GoogleMAP
0739-46-0333
インスタ:
https://www.instagram.com/xyzresort/
●宿泊について
宿泊料金例)
シーサイドウィングJスタイル
2名1室の1名あたり
1泊2食¥19,440~ ※2018年3月。夏より料金改定予定あり
大浴場なし
標準チェックイン・アウト
15:00/11:00