鹿児島県指宿市で、新たに温泉ガイドツアーが始まりました。NHK大河ドラマ「西郷どん」の主人公・西郷隆盛が逗留した温泉・鰻温泉を巡ることができますよ。一体どんなガイドツアーなんでしょうか?
写真:行く先々で湯煙ののぼる鰻温泉
2018年のNHK大河ドラマの主人公にもなった西郷隆盛。「西郷さん」「西郷どん」と親しみを込めて呼ばれていますよね。ドラマのタイトルは「せごどん」。「せご」は、鹿児島の方言なんですよ。
幕末から明治に全国を股にかけて活躍した西郷どんは、全国にゆかりの地が点在しています。激動の時代を生きた西郷は、その人生の大きな転換期を指宿で過ごしました。
今回ガイドツアーで巡る「鰻温泉」は、征韓論に敗れて下野した西郷どんが明治7年に1カ月ほど滞在した温泉地なんです。(林真理子さんの原作本「西郷どん」にも鰻温泉にいる西郷隆盛を江藤新平が訪ねる場面があります)もともと温泉好きで知られる西郷どんですが、1ヶ月間も滞在したなんて、とても気に入ったんでしょうね。
写真:西郷隆盛は毎夜、鰻温泉の湯につかったとされる
鰻温泉は、元々は火山の噴火口だった鰻池の湖畔の集落にある小さな温泉地で、泉質は単純硫黄泉。源泉の温度は約90度と高温です。区営の日帰り温泉施設があります。
写真:区営の日帰り温泉施設は地域住民の憩いの場
このガイドツアーで鰻温泉を案内してくれるのは、ボランティアガイド会「いぶすき西郷(せご)どんガイド」の皆さん。2017年に発足した新しいガイド会ですが、歴史や観光について、全17回もある研修を受けて指宿市観光協会より認定を受けた、鰻温泉を知り尽くしたガイドが揃っていますよ。
写真:知識はもちろん、鰻温泉への愛情が伝わるガイド
ツアーの内容は、西郷隆盛逗留地跡(西郷隆盛像)や鰻池、鰻温泉の散策・案内など。その後、「スメ」体験をすることができます。
「スメ」とは、鰻温泉地区のあちこちで白い湯気をモクモクと上げている温泉の蒸気を利用した天然のかまどのこと。「スメ」も鹿児島の方言で、湯気・煙などが「すもる」という言葉が縮まって「スメ」と呼ぶのだそうです。
現在も家庭での日常の煮炊きに使われているんですよ。家庭で温泉蒸気の蒸し物ができるなんて…なんて贅沢!温泉好きには堪りませんね。この「スメ」で卵と季節の野菜を蒸して食べることができます。蒸したての野菜と温泉たまご…あぁ、想像しただけで美味しそう!
写真:「スメ」で蒸すと、素材のおいしさが引き出されるのだそう
写真:温泉で作るゆで卵は旨味がギュッと凝縮され、格別の味わい
ガイドの所要時間は45分程度。1.2kmほどの散策とスメ体験(約15分)が含まれています。
ガイドの参加費は大人500円、小・中学生は300円です。この参加費にはガイド費用、保険の他にスメ体験の温泉たまごと季節の野菜の料金も含まれていますよ。この位の所要時間と参加費なら、気軽に参加できそうですね。
写真:温泉街をぶらりと散策しながらの丁寧な説明が魅力
通年実施していますが、前日までの事前申込が必要なのでご注意を。案内は8時半から16時までの間で都合の良い時間からスタートすることができますよ。
少人数でのツアーから団体まで幅広く受け付けてくれるのも嬉しいところです。
200人くらいまでなら同時に受け入れ可能で、開始時間が異なっていれば受入可能だそうで、かなり柔軟に対応してくれるところも、嬉しいですね。
鰻温泉は案内だけで立ち寄り湯などの時間は設けられていないので、ぜひガイドツアー終了後に足を運んでくださいね。
写真:ツアー参加後は、西郷どん気分でゆっくり温泉へ
まだまだ知られていない、指宿の秘湯「鰻温泉」。ガイドツアーで西郷どんの愛した温泉にゆっくりと浸って、西郷どんの足跡と歴史に思いを馳せてみてはいかがでしょう?
(まとめ・文:ゆきさね 更新:すてぃーぶん 記事確認2019年11月)