新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大によって、温泉旅館・ホテルなどに大きな影響が出ています。不動産投資法人（J-REIT）として温泉・温浴関連施設に投資している大江戸温泉リート投資法人（https://oom-reit.com）の今西文則執行役員に、全4回にわたってお話を伺いました。
第1回は、大江戸温泉リートについて基本的なことを教えて頂いてから、新型コロナウイルス感染症の感染拡大によってどの様な影響が出ているのか伺います。
大江戸温泉物語 レオマリゾート
Ｑ.「東京お台場 大江戸温泉物語」は聞いたことがあります。「東京お台場 大江戸温泉物語」は「大江戸温泉リート」が運営しているんですか？
Ａ.お台場の施設は、大江戸温泉物語ホテルズ＆リゾーツ株式会社が運営しています。大江戸温泉リートは多くの温泉・温浴関連施設の不動産を保有していますが、お台場の施設は含まれていません。
Ｑ.なるほど… 大江戸温泉物語ホテルズ＆リゾーツ株式会社と大江戸温泉リートとはどう違うのでしょうか？
Ａ.大江戸温泉物語ホテルズ＆リゾーツ株式会社は、温泉・温浴関連施設を運営する事業者ですが、大江戸温泉リートは不動産を保有してそうした事業者に賃貸する大家業です。
なお、すべてのリートはその運用を資産運用会社に委託しますが、大江戸温泉リートの運用会社である大江戸温泉アセットマネジメント株式会社は大江戸温泉物語ホテルズ＆リゾーツ株式会社を中心とする大江戸温泉物語グループの一社です。また、我々の資産運用会社を除いた大江戸温泉物語グループは、リートの世界でいうスポンサーに当たります。
大江戸温泉物語 レオマリゾート
Ｑ.それでは、大江戸温泉リート投資法人はどういった役割を果たしているのでしょうか？
Ａ.大江戸温泉リート投資法人は、温泉ホテルなどの温泉・温浴関連施設を中心に人々の余暇活用のための施設について、その不動産（土地や建物）を保有し、施設の運営事業者に賃貸することを事業としています。スポンサーである大江戸温泉物語グループは、現状大江戸温泉リートが保有する14施設の不動産のすべてをテナントとして賃借しています。
なお、大江戸温泉物語グループは全国で約40施設を運営していますが、大江戸温泉リートから賃借している14施設以外については、同グループで不動産を所有しているか、他から賃借しています。
Ｑ.新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって、どの様な影響が出ていますか？
Ａ.今年の２月頃まではテナントである大江戸温泉物語グループの宿泊施設の稼働状況に特に大きな影響はありませんでしたが、３月以降は国内客の自粛の広がりによって客室稼働率や売上は大きく低下しています。
ただ、大江戸温泉リートは大江戸温泉物語グループから受け取る賃料の９割以上が固定賃料となっていますので、業績への影響は限定的です。
大江戸温泉物語 レオマリゾート
Ｑ.緊急事態宣言が出された後、具体的にはどの程度の客室稼働率や平均客室単価の減少がありましたか？
Ａ.大江戸温泉リートの保有する全14施設の平均客室稼働率は、コロナ危機以前では88~89%と高いものでしたが、3月度は62.4%となり、4月7日に首都圏等に緊急事態宣言が出されたため、4月度は一部施設の休業を受けて、おおよそ20%未満まで下がったのではないかと思います。
また、４月末からのGW以降は全施設で休業をしています。平均客室単価については、平常時は約3万円程度のところ、4月度は2万円を切るレベルになったのではないかと考えています。
Ｑ.やっぱりインバウンド需要の低下の影響が大きく出ているのでしょうか？
Ａ.お台場の施設は例外的にインバウンドも多いですが、基本的に大江戸温泉物語グループが運営する宿泊施設ではインバウンドの構成比はきわめて小さく、ほんの1%程度です。施設近隣の都府県等の都市部から気軽にアクセスできるお客様、特に年に何度もリピートしていただくシニア層を中心とした顧客構成となっています。
大江戸温泉リートの保有14施設についても同様で、インバウンドの落ち込みの影響はあまりありません。むしろ、国内客の自粛による影響が大きいといえ、今後いかに早く国内客の需要が回復するかが鍵だと思っています。
大江戸温泉物語 長崎ホテル清風
第2回に続きます。第2回は第1回に続いて当面の影響を伺い、加えて業績見込みについてもお話を伺う予定です。
（取材・執筆・制作：Vermiliおん）
