新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大によって、温泉旅館・ホテルなどに大きな影響が出ています。不動産投資法人（J-REIT）として温泉・温浴関連施設に投資している大江戸温泉リート投資法人（https://oom-reit.com）の今西文則執行役員に、全4回にわたってお話を伺いました。
第4回は、前回につづけて投資法人の戦略について伺った後に、現状の取り組みについて伺います。
大江戸温泉物語 伊香保
Ｑ.投資対象の余暇活用型施設とは、具体的にはどのようは不動産なのですか？
Ａ.我々は、消費者に対し「愉しみ」、「コミュニケーション」、「癒しとリラクゼーション」、「健康と知的な充実」など、現代人が求める余暇活用と充実した時間の過ごし方を提供することを事業の目的とした産業を余暇活用型産業と定義し、その事業の用に供される施設を余暇活用型施設と表現しています。
余暇活用型施設とは、人々の豊かで充実した余暇活用に応える施設であり、重点投資対象としている温泉・温浴関連施設に加え、エンターテインメント、スポーツ、アミューズメント、宿泊、飲食、美容・健康増進など、ワクワクするような「コト消費」を満たすためのメニューをもつ、単独またはそれらが複合した施設が投資対象です。
大江戸温泉リートの投資対象
Ｑ.投資法人の戦略を変更する必要があると感じていますか?
Ａ.基本的な投資方針や戦略を変更する必要は現時点において感じていません。ただし、コロナ危機の経験を通じて、具体的な投資対象には様々な新しいものが生まれてくる可能性がありますし、消費者に支持される施設も変わってくることが考えられますから、具体的な投資の目線や基準は適宜見直していく必要があると考えています。
大江戸温泉物語 伊香保
Ｑ.大江戸温泉リート投資法人として、この時期に最も注力すべきと考える点はどういった点でしょうか?
Ａ.まずは足元のリートの運営を万全な形で乗り切ること、いわばディフェンスに専念いたします。
ただ、その一方でコロナ危機以降の展開を踏まえて、新しい成長の機会を逃さぬよう、情報の収集や分析、新しい投資対象の発掘などは必要ですし、運営体制における新しい働き方やコミュニケーションツールの導入などの資産運用会社の内部改善も必要だと考えています。
大江戸温泉物語 君津の森
Ｑ.各地の温泉旅館・ホテルなどがクラウドファンディング、宿泊チケットなどの予約販売、通販強化、温泉宅配など新型コロナウイルス感染症の感染拡大への対応策として新しい動きを見せています。投資法人としては、この様な動きをどう見ていますか？
Ａ.足元の運転資金を確保しようとする各種の新しい動きは重要なことと考えます。こういった動きは感染拡大への苦肉の対応といった面もあるかもしれませんが、ディフェンスにおける対応も、クラウドファンディングなど新しいツールを利用して各種ステークホルダーや温泉を応援したいと考える顧客などと結びつく動きなど将来の新しいオペレーションの芽となる可能性があります。業界の様々な動き、トライアルにはアンテナを高くして注視していく必要があると思います。
大江戸温泉物語 長崎ホテル清風
Ｑ.温泉客や旅行者など利用者の皆様へのメッセージをお願いします
Ａ.大江戸温泉リートはテナントである大江戸温泉物語グループと協調して、休業中の施設の再開をサポートし、施設のお客様に安心してご利用いただける、満足度の高い施設であるよう、不動産オーナーとしての立場から努力を継続していきます。
また、今後新型コロナウイルス感染からの回復に伴い新規物件の取得チャンスが来れば、大江戸温泉物語グループの運営物件をはじめ、さらに多様な他の温泉・温浴関連施設や余暇活用型施設の取得を図ります。そして事業者の皆様を不動産面でサポートすることで、利用者の皆様に愛される施設のオーナーとして成長していくことを念願しております。
Ｑ.投資主やその他ステークホルダーの皆様へのメッセージをお願いします
Ａ.足元は新型コロナウイルス感染の影響により、投資主様や関係先の皆様にはご心配をおかけしていますが、万全の体制で乗り切り分配金の確保に努めます。そして、しばらくは守りに徹しつつも、再び成長の機会が訪れればそれをとらえ、早期に、より規模のある本格的なポートフォリオの形成に向けて努力し、中長期的な投資主価値の向上を実現していきます。
皆様のご理解とサポートをよろしくお願いいたします。
大江戸温泉物語 きのさき
今西執行役員、ありがとうございました。
（取材・執筆・制作：Vermiliおん）
