600年の歴史を持つ山口県最古の温泉、長門湯本温泉。
温泉街で古くから愛されてきた立ち寄り湯、「恩湯(おんとう)」が2020年3月、リニューアルオープンします。
山口の歴史ある日帰り温泉施設、恩湯
写真:音信川のほとりにたつかつての公衆浴場 恩湯
山口宇部空港から車で約1時間のところにある長門市。
市の中心から車で10分ほどの山あいに広がるのが長門湯本温泉です。
600年前に住吉大明神のお告げによって発見されたと伝えられていて、江戸時代には多くの藩主が湯治に訪れていたのだとか。
歴史ある名湯なんですね。
音信(おとずれ)川沿いに12軒の温泉旅館、そして2つの公衆浴場、恩湯(おんとう)と礼湯(れいとう)がありました。
アルカリ性単純泉のお湯はトロトロでまるで化粧水のようと言われるほどの美肌の湯。
夜になると「湯本温泉」のネオンが輝く日帰り温泉施設の「恩湯」は、そのレトロな佇まいが目を惹く温泉のシンボル的存在。まるでタイムスリップしたような風情あるその雰囲気は温泉好きな観光客にも人気でした。
温度はぬるめですがゆっくり浸かることで体の芯まで温まるお湯は、地元の人たちでいつも賑わっていたようです。
しかし建物の老朽化もあり、2017年5月営業を終了。
現在、建て替えが進められており、2020年3月にリニューアルオープンされることになりました。
よみがえる「神授の湯」
写真:恩湯とともに周辺のスペースも生まれ変わる(イメージ)
恩湯はリニューアルによってかなり大幅に生まれ変わるようです。
今まさに建て替えが進んでいる新しい施設は、木材を使った平屋造り。スッキリとしたモダンな建物になりそうですね。
リニューアルにより温泉が湧き続ける様子を見ることができるようになるとのこと。
温泉が湧いているところを実際に目にすることってあまりないですよね!
恩湯は温泉が湧く岩盤の上に直接立っている、全国でも珍しい温泉。
浴槽と岩盤の間はガラスで仕切られていて、湯船の奥にある岩盤から温泉が湧いているところを見ることができるのだそうです。
すぐ上の丘には住吉神社があり、温泉発見の伝説のある住吉大明神像と、その下にこんこんと湧く温泉。神秘的な雰囲気を感じられます。
そしてもう一つの特徴が、なんと深さ1メートルある深風呂。
普通に座って入れる温泉と比べるとかなりの深さですよね。深風呂は全身に水圧がかかるため血行を促進する効果があるそうですよ。
深風呂の内部は階段状になっていて、段差に座って浸かることもできます。
写真:恩湯 内部イメージ
新設される恩湯食やテラスでのランチもおすすめ
写真:名物の地鶏を堪能できる鶏飯
さらに温泉施設だけではなく、食事やイベント開催もできるスペースが新たに作られます。
飲食棟は「恩湯食」。地元食材を活かした体に優しいメニューが中心になるとのこと。
近年、長門市で人気が高まっているのは地鶏。「全国七大やきとりの街」にも選ばれるほど焼鳥店が多数あるそうです。
中でも柔らかめでジューシーな味わいがある地鶏「黒かしわ」やハーブで育てられた濃厚な旨みのある「長州どり」などの人気ブランドもあります。
恩湯食では、黒かしわ、長州どりをぜいたくに使った長門鶏飯や鶏うどんなどの名物の鶏料理を楽しめますよ。
また豆腐を中心としたメニューや、長門鶏卵を使ったお菓子、地酒、ワインなども販売される予定で、ご当地グルメを満喫できそう。
写真:恩湯食おすすめメニューのひとつ 鶏うどん
店内はテーブル席20席とカウンター席6席となっています。
温泉上がりに地元産のヘルシーごはん、体に優しい時間を過ごしてデトックスできそうですね。
長門湯本温泉そぞろ歩き ランチやカフェでほっこりする時間を
写真:音信川のほとりでランチ
そして恩湯と恩湯食をつなぐスペースでは、朝市やイベントなどが開催される予定。
また音信川のそばには「おとずれ川テラス」が新設され、恩湯食のメニューをテイクアウトしたり、パーティーができたりとアウトドアも楽しめそう。
写真:川辺でパーティなどイベントも開催できる
現在、長門湯本温泉全体で、温泉街のそぞろ歩きをコンセプトにさまざまなリニューアルが進められています。
写真:まちづくりマップ。赤いワクがすでに完成したところ。青いワクは来年3月までにオープン予定
すでに完成している新スポットもあります。
深川萩焼の器や自家製ケーキが人気のギャラリーカフェcafe&pottery音、長門市らしいゆずきちソーダやピタパンサンドなどテイクアウトメニューが充実したA.sideなど。
さらに、来年3月までに完成予定の駐車場から恩湯に通じる「竹林の階段」の景観は圧巻!インスタ映えする新名所となりそうです。
音信川にかかるきらきら橋付近の広場と飛び石も人気スポットで、夏には川遊びをする家族でにぎわいます。
かつては川沿いに公衆洗濯場があり、川に流れる温泉水を使って洗濯する住民たちのコミュニケーションの場ともなっていた音信川。
時代が移り変わっても、温泉や自然を楽しめるコミュニティスペースはこれからも受け継がれていきそうですね。
(まとめ・文:mashiro)