月岡ブルワリー&KITCHEN GEPPO
https://tsukioka-brewery.jp/所在地:新潟県新発田市月岡温泉552-111 GoogleMAP
TEL:0254-28-9161
営業時間:10:00~17:00(L.O.16:00)
定休日:木曜日
『エメラルドのよう』とさえ言われる透き通った緑色のお湯で有名な新潟県新発田市の月岡温泉。そこに2020年11月に新しくできた「月岡ブルワリー」が今アツい!
月岡温泉を思わせる緑色のクラフトビールや、日本初のルビーチョコレートを使用したものなど、注目の商品を次々と生み出す月岡温泉の新名所を紹介しましょう!
新潟県新発田市にある月岡温泉は新潟県の中では数少ない「温泉街がある」温泉。そして、湯船に満ちる温泉の色は透き通った緑色!
私はかつて、そんな美しい温泉に入った嬉しさで「宝石の湯」なんて表現しましたが、本当に美しいお湯なのです。かつ、入り心地も刺激がなく穏やか。
この緑色は、源泉の中に大量に含まれている硫黄とナトリウムによるもの。
硫黄が大量に含まれていると通常は白い濁り湯になることが多いのですが、月岡温泉のそれは分子量が小さいのと、含まれる量が多いため、硫黄の色である黄色が透明な状態で出てきているそう。
そしてそれがナトリウムの色・青とあわさり、美しい緑~黄緑色のお湯になっているんです。硫黄が多いので汗疹などの肌トラブルにもいいと思われます。
月岡温泉はこの個性あるお湯とともに、最近では湯の街おこし活動もさかん。
新潟中のお酒が利き酒できる酒屋さんや手焼きせんべいやさん、発酵食のお店など毎年新しいお店ができて、散策が楽しくなってきている注目の温泉です。
そこへ2020年11月に新しくできたのが月岡ブルワリーなのです。
月岡ブルワリー&KITCHEN GEPPOの支配人・渡辺安之さんに、月岡ブルワリー誕生のいきさつをきいてみました。
月岡ブルワリー誕生のきっかけは「しばた寺びらき」で出した他エリア産のクラフトビールが大当たりしたことだそう。
歴史あるお寺が軒を連ねる城下町・新発田にある「寺町通り」、その魅力を親しみやすく紹介し、人と人とが「つながる」きっかけつくろうと渡辺さんが企画したのが「しばた寺びらき」。
大学や社会福祉法人、民間団体と協働し10ほどのお寺とその通りを開放して、お洒落な出店とともに、座禅体験やヨガなどお寺という非日常空間を味わってもらう……という珍しいイベントです。
特に出店については、職人さんのこだわりがあって手が込んでいる、お洒落な商品を扱っているお店に集まってもらいましたのだそう。
飲食も、カジュアルでお洒落なものにこだわったその1つがクラフトビールです。
「『人間の煩悩108本限定』と称して108本限定で鎌倉の大仏ビールを売り出したところバカ売れ!煩悩ゆえか、あっという間に売り切れてしまいまして(笑)」とのこと。
それで「これはいける!」と、日本酒ソムリエの新保さん、調理師の資格を持つ「寺町たまり駅」駅長の三宅さんの3人が集まり、新発田のクラフトビールプロジェクトが始まったのだそうです。
新しい醸造所の場所は、新発田市内でも最も観光客を集める月岡温泉に決定。
月岡温泉のランドマークでもある足湯「湯足袋」から徒歩10秒の場所に2020年11月にOPENした月岡ブルワリー、コンテナのような四角い外観が特徴的です。
「そもそもコンテナブルワリーがやりたかったのですが、コロナの影響でコンテナが届かなかったんです。コンテナっぽい外観はコンテナブルワリーの企画の名残です(笑)」
コンテナっぽい建物の内部は、大きなステンレスのタンクが「ブルワリー」「工房」といったインダストリアルな雰囲気を高めます。
ここでまさにクラフトビールが作られている証ですね。
壁は月岡温泉の湯の色にインスパイアされた濃い緑色。磨かれたタップが並んでいる様にビール好きはワクワクしそう。
これらの設計や内装もすべて新発田のデザイナーに依頼。「地元人による地元がつくる地元が味わえるブルワリー」がコンセプトだそうです。
クラフトビールの製造を担うのは、日本酒ソムリエの新保さん。
今まで日本酒一筋の酒屋だったという新保さんはブルワリーを作ることが決まってすぐに、ビールの巨匠といわれる人のところで修業を始めたといいます。
さまざまな日本酒に出会った知識や経験を活かして、湯上がりに飲みたくなるようなクラフトビールを目指してたどりついたのが、今、月岡ブルワリーで作っている4種類なのです。
温泉の湯あがり専用に作ったというペールエールは「スッキリとしながらもクーっとくる(HPより)」。イギリス産のエール麦芽を使い、ホップはカスケードを使用。
「ナチュラル」の名前は自然発酵させたことから。ドイツ産のピルスナー麦芽に小麦を半分使用し、フルーティな芳醇さとまろやかさが楽しめる。伝統的なザーツホップを使用。
二種のホップ、モザイクとシトラを使って苦みと香りを際立たせた、好きな人にはたまらない苦めのクラフトビール。イギリス産のエール麦芽とオーストラリアのカラメル麦芽を使用。
そしてすでにリピーターも多く大人気の
です。
4つのクラフトビールの中でも、特に目を引くのが、明るい黄緑色が美しい「月岡エメラルドエール」。
月岡温泉の個性である緑色の湯にちなんだ「月岡エメラルドエール」はイギリス産のピルスナー麦芽に国産のマスカット果汁をあわせて醸造。
マスカットの爽やかな香りがするのに、飲んでみると果物の甘さはまったく感じず、食事にもあう逸品に仕上がっています。
アルコール度数も4%と低いので、アルコール初心者にも飲みやすいんだとか。
お持ち帰りの人も多いとのこと、合うおつまみをきいてみたところ、チーズ系がよくあうのだそうですよ。
月岡ブルワリーの隣に併設されているのがレストラン「KITCHEN GEPPO」、そこで味わえるフードも新発田や新潟県を中心とした地元産品にこだわっています。
3種ソーセージ盛り合わせは新発田の「越後ハム」にクラフトビールにあわせたオリジナルを依頼。
「月岡バーガー」は「月」にちなんだ目玉焼き入り。ただしこの卵は、新発田ではブランド卵で有名な川瀬養鶏場のもの。
手塩にかけて育てた鶏に産ませた卵は濃厚でそれはそれは美味しいそうです!(1個当たりのおおよその値段をきいたら、ライターが普段食べている卵の数倍くらいの価格でした)
公式HPのメニューにある謎メニュー「純白のビアンカと地野菜のせいろ蒸し」、純白のビアンカって何?と質問したところ、こちらも新潟のブランドの豚肉だそう。
あのヤスダヨーグルトの製造で出るホエイを餌に与えて育てている豚が「純白のビアンカ」。
ホエイといえばプロテインの材料にもなる栄養豊富な原料。
そんなリッチな餌で育てた豚肉をせいろ蒸しでそのままの味を楽しめるわけですね!
なお食器類やグラスは、すべて燕三条の企業への特注品。
お店にあるタンクと調和するようなビンテージ加工を施したお皿やカトラリーはInstagramなどで見ても味があってお洒落。
グラスは1瓶がちょうど入るサイズとし、香りを引き立たせるための曲線形状で、手の熱がビールに伝わりにくいよう、ステム(持つところ)を長めにしているとのことです。
4種類からの新商品の開発にも意欲的とのことで、この2月には日本初だという「ルビーチョコレート」のクラフトビールを発売し、話題になりました。
地元の新発田で焙煎したコーヒーを使った「コーヒースタウト」とのバレンタインセットは、たった2日で完売してしまったそうです。
これからは夏に向けて「レモンを使ったクラフトビール」を企画中だとか。
「新発田のレモンは有名というわけではないのですが、クラフトビールに合うものを発掘できたら生産者さんにもお客様にも喜ばれるだろうなと」。
新しい味も楽しみです!
ところで、月岡ブルワリーのクラフトビールはネットなどで取り寄せられるのでしょうか?
「月岡温泉エメラルドエールを取り寄せたいという声は、企業さんからも個人のお客様からも多数いただくのですが、製造が追いつかなくて……当面は月岡ブルワリーと新発田市内の寺町たまり駅のみでの販売となります」
とのこと。
そもそも地元を盛り上げたいとの想いからのブルワリー、「月岡温泉エメラルドエール」は月岡温泉を訪れて、湯上がりに味わうのが一番なんでしょうね!
(取材・文:やまめタグ、編集:hotspring727)