月岡温泉 摩周
https://www.masyuu.co.jp/新潟県新発田市月岡温泉
TEL 0254-32-2131
●立ち寄り湯
●宿泊について
1泊2食付 2名1室あたりの1名料金
月岡美人会席プラン ¥16,350~
その他のプラン料金はこちらで
・宿泊者の温泉利用時間
チェックイン~24:00、5:00~9:30
貸切湯 45分 2200円
標準チェックイン/アウト
15:00/10:00
新潟県新発田市にある月岡温泉は透き通った若草色のお湯が魅力的な温泉地。
その中にある旅館・月岡温泉 摩周が2014年から4年間にわたる大リニューアルがついに完成……?
「楽天トラベルアワード」やじゃらんの「泊まって良かった宿大賞」に入賞するなど、宿泊者の評価も高いお宿のリニューアルの全容を、憧れの黄緑色の温泉体験も兼ねてレポします。
月岡温泉は新潟県の中では数少ない「温泉街がある」温泉。
白い雪をいただいた飯豊連峰を望みながら一面に広がる田んぼの中をドライブ、赤い橋をわたるとのんびりした温泉街があらわれます。
大正4年開湯、新潟から1時間ほどであることから高度成長期には「新潟の奥座敷」的に団体客・宴会客で賑わいを見せ、温泉街には芸者さんが行き交う姿が華を添えたといいます。
団体客がいなくなった今、温泉街は静かになりました。少し寂れた温泉街を、国内からの個人客がのんびり散策、あるいは足湯を楽しんでいて、なごみます。
温泉街には月岡温泉饅頭を売るお店と、なぜかお寿司屋さんが目立ちます。後で聞いたところによるとお寿司屋さんは、宴会メインだったころの名残、二次会に使われていたのだそうです。
摩周があるのは、月岡温泉を代表するランドマークでもある足湯のすぐ近く。温泉街から見ると足湯の背後にあります。
昨年2018年で創業50年を迎えた月岡温泉 摩周。
足湯方面から見えた観光ホテル風の建物に対し、お客様を迎えるエントランスは木を多用したナチュラルで優し気な雰囲気になっています。
エントランスを入ると、庭園に臨んだロビーラウンジ。フローリングに木のソファがゆったり間隔をあけて配置されたリラックス空間に心が浮き立ちます。このロビーラウンジも2018年にリニューアルされたばかりの空間で、コーヒーやビール・ジェラートなどもいただけるのだそうです。
チェックイン後、さっそくお部屋へご案内。
なお今回の一連のリニューアル、客室のバラエティも増えています。
半露天(※沸かし湯)付きのスイート「四季邸いろは」を筆頭に、「さつき邸やまのは」「和室ベッドルーム」「ツインルーム」とベッドルームのあるタイプがいろいろ。
公式HPの写真を見るとわかりますが、同じグレードの部屋でもインテリアは1つ1つ違います。
月岡温泉 摩周のお部屋一覧
https://www.masyuu.co.jp/room/
どの部屋も木の風合いを生かしたナチュラルで落ち着くインテリアでまとめられています。床がフローリングか、畳かなど好みで選ぶのも楽しいですよね。
私が今回泊まったお部屋は「さつき邸和室」。一番リーズナブルで温泉旅館としてスタンダードなタイプの10畳のお部屋です。まわりに障害物がなく日当たりの和室はやっぱり落ち着きます。温泉に来たな~という感じはやっぱり和室ですよねっ!
ちなみに、とても普通に見えるこの和室、実は【電源がいっぱいある!】
スマホにデジカメ、ヘアアイロンに髭剃りなどなど旅行中に充電したいものがいっぱいある現代人。こういう温泉宿では、同行者と電源の奪い合いになることもあるのではないでしょうか。しかし、私が泊まった和室は部屋の中だけで7か所も電源が(差し込み口2個以上)!
これだけあれば、友達や家族で泊っても、安心ですね。無料Wi-Fiも使えるので、もちろんリアルタイムでSNS投稿したい人などには嬉しいですね。もちろん私のように仕事を持ってきちゃった人にはありがたい(とほほ)
さて、待ちに待った温泉へ。月岡温泉 摩周では男女別の温泉を朝夕で交代しています。
女性はチェックイン後は「月美の湯」。八角形の湯舟にたたえられた緑の湯は月岡温泉 摩周を象徴する存在といえるでしょう。
ここは4年越しのリニューアルの原点、一番最初にできたところです。緑色のお湯は、午後の光を受けて黄緑色に澄んで輝いていました。エメラルドというよりは、色合いが明るくてペリドットとかヒスイを想像しました。いずれにしてもこんなに美しいお湯に入れる幸せ。温泉好きはたまりません。
澄んだ黄緑色のお湯からはほんのり、硫黄の香りがします。泉質は含硫黄-ナトリウム-塩化物温泉。総硫黄量(硫黄成分濃度)全国2位を誇る、成分的に濃い湯です。
総硫黄2位だから、もっと卵臭がきついのかと思いきや、硫黄の香りは、ほんのり…といったところ。総硫黄量1位の万座温泉・3位の高湯温泉のような強い硫化水素臭はありません。
硫黄量豊富だけれど、あくまでも香りは上品に……。温泉情緒を楽しむには絶妙な湯の香になっている理由はPHとのこと。硫黄が強く感じられる温泉はだいたい強い酸性のところが多いのですが、月岡温泉のお湯は弱アルカリ性。ほとんと中性に近い肌に穏やかなPH、ゆえに硫黄臭もきつくないのだそうです。
そしてこの豊富な硫黄が、月岡温泉の美しいライトグリーンを醸し出す主役でもあります。
硫黄が多いと白濁することが多いのですが、月岡温泉の硫黄は、アルカリ性の温泉の中に溶け込んでおり、分子量が小さい状態になっています。この状態だと通常は透明なのですが、月岡温泉の場合は硫黄の量が多いので硫黄の色である「黄色」が透明な状態で出てきているんだそう。
そして硫黄がナトリウムの青とあわさり美しい黄緑色になっているのが月岡温泉の美しい温泉のからくり。硫黄がもっと多くなると分子量が大きくなって白濁してしまうとのこと、まさに自然が生んだ奇跡のバランスがこの宝石のような美しいお湯を作り出しているんですね!
付け加えるなら、月岡温泉の源泉温度は約50度と適温にほぼ近い状態。加水することなく適温で湯舟に貯められるというのも、このお湯の美しい個性を活かせる自然条件の1つでしょう。
しかし、この月岡温泉の源泉は、この美しい状態で湧出しているわけではないといいます。
月岡温泉はそもそも石油を掘ろうとしたら、温泉が湧いたという偶然の産物。
月岡温泉の源泉は今も月岡源泉協同組合が管理し、各温泉宿に配湯されていますが、配湯される源泉には、今もコールタール状の原油が含まれており、黒くてドロドロとしたものなのだそう。
それを各宿がそれぞれ分離槽で原油と温泉をわけるという手間を経て湯舟にいれているんです。摩周のお湯も4つの分離槽を経て「磨いた」もの。
エメラルドやペリドット・ヒスイ……宝石のようなお湯は、本物の宝石のように原石で掘り出して、手間をかけて「磨いて」いるんですね!(後半に続きます)
(取材・文:おんせんニュース中の人)