豪華寝台列車「ななつ星」が宿泊地に選んだこともある鹿児島県の霧島山麓にある妙見温泉。九州を代表する旅館もある癒しの温泉地ですが、この妙見温泉に2月より新しくカフェ&食事処の「ネムノキ茶屋」ができました。旧・妙見ホテルを妙見石原荘がリノベーションしたというこのカフェを取材してきました!
写真:ネムノキ茶屋がある「妙見温泉ねむ」の外観。妙見温泉バス停の目の前だ
鹿児島県霧島山系に展開する新川渓谷温泉郷は西郷隆盛や坂本龍馬も訪れた歴史ある温泉郷です。
清流・天降川ぞいに湯治宿や一軒宿が点在する、自然豊かな癒しの温泉郷。その1つ妙見温泉は、豪華寝台列車「ななつ星」が宿泊地に選んだセンスのよい高級有名旅館もあり、静かな温泉地ながら存在感を示しています。
女性や知識人にも人気の温泉地でありながら、カフェやちょっとした食事処がありませんでした。(つまりそれほど小さな温泉地なのですが…)
宿に泊まれば、お宿でカフェ気分が味わえるのですが、日帰りだったり、お宿をチェックアウトした後にちょっとほっこりする場所がほしいな~。気楽にご飯食べられるところがあったらな~……妙見ファンである中の人も思っていたところへ、新カフェができた!とのニュースです。
写真:天降川ぞいにある妙見温泉ねむ(左)。橋の上からは鮎などが泳ぐ姿が見えることも
新しいカフェ「ネムノキ茶屋」は、旧・妙見ホテル(現在は「妙見温泉ねむ」に改名)の1階部分をリノベーションしてできました。
後継者がいない妙見ホテルを近くにある妙見石原荘が引き継いで、まずはカフェを運営しているのだそうです。
センスでは定評のある妙見石原荘の運営、ということで期待高まるその内部は……大変素敵です。
写真:ネムノキ茶屋の入り口
フランスからやってきたアンティークのカウンター・壁の薩摩錫のオブジェがお客様を出迎えます。
店内は天降川沿いに個室風に仕切られた席が展開。ただ仕切りは格子状にカットされた白い布なので、閉塞感はなく明るい雰囲気です。
写真:ネムノキ茶屋の店内。天降川を眺めながら寛げる
川側の席に着けば、聞こえるせせらぎ、翠に透ける川面。安らぎます。
壁にはカラフルな薩摩切子が埋め込まれています。特注の薩摩切子はカラフルな色合いに複雑なカットで宝石のようにキラキラしています。薩摩切子のまわりには白い多治見タイルが埋め込まれています。
写真:特注の薩摩切子が多治見タイルの中に埋め込まれている
これは多治見がある岐阜県と鹿児島が姉妹県であることにちなんでいるんだとか。(姉妹県なんてものがあるんですね~驚きだ)
なんで姉妹県なのかというと、歴史があるのです。
昔、薩摩藩が岐阜県を流れる木曽川の治水工事を担当した際に、堅固にしようと頑張りすぎて費用がオーバーしてしまいました。工事を担当した薩摩藩士は費用オーバーの責任をとって切腹してしまったのだそうです。
でもその工事のおかげで木曽川は氾濫しなくなり、人々は薩摩の仕事に大変感謝した……というのが姉妹県である由来です。
地元の工芸品だけでなく、歴史的に関係がある地域の素材を組み合わせて、より意味と深みがある空間をつくる……妙見石原荘の知的な美的センスが生きてると思います。(もし歴史とか地理がわからなくても、可愛い~と感じますよ!)
ガラス張りのキッズスペースに面した席もあります。この席のテーブルには電源もあります。わが子を見守りながら大人はゆっくりスマホチェック……なんてことも可能です。
写真:キッズスペースに面した席。おもちゃのほかアニメなどの上映も
キッズスペースはプロジェクターでアニメなども楽しめるなど小さなお子様が飽きない工夫がなされているのも嬉しいですね。
さて、メニュー。
「ねむのきランチ」をオーダーします。
ランチといいつつ、私の普段の夕食より断然リッチな10品が大きな木のお盆にのって運ばれてきました。
写真:ねむのきランチ。たっぷりの野菜が嬉しい。
量は多いけれど野菜たっぷりでヘルシー、茶碗蒸しもあってしつらえも可愛く特に女子は喜ぶと思います!
霧島の茶葉を餌に、完全無投薬育ちの地元自慢のサーモン・霧島サーモン。スチーム調理で透明感のあるレア仕上げ、食感もしっとりしていて普段食べてる鮭とはまったく別物。
ランチのご飯は、白米と玄米と選べますが、断然「玄米」を選ぶべきです!
この玄米がただものではないのです。その名も「温泉ねかせ玄米」という……食べてみるともっちもちで香ばしい甘味があってめちゃくちゃ美味しい!
玄米にありがちな固さもヌカ臭さもなく、もちもち歯ごたえが心地よくて、おかずなしで何杯でもいただけそう!思わずお持ち帰りの販売はないのか聞いてしまいました(笑)
写真:醤油飯のように茶色い温泉ねかせ玄米。取材後でテイクアウト商品もできたそう(美味しいですもんね~私も持って帰りたかった)!
「温泉ねかせ玄米」は温泉で洗った玄米を、炊きあがってから数日専用の保温器で寝かせてつくります。寝かせる間にもちもち感と酵素が出てきて、体にも優しいのだそう。
香ばしい甘味はたぶん炭酸水素塩泉由来かな、と推測します。
超大食いの私は、食後にパンケーキパフェを追加オーダー。
これは人気の「九州パンケーキ」の粉で焼いたパンケーキと季節の果物をグラスでパフェに仕立てたもので、取材時はいちごの季節でなんとも「映える」ルックス!
写真:いちご仕立てのパンケーキパフェは春限定メニュー
このパフェの特徴は「甘酒生クリーム」。生クリームに甘味を付けているのは甘酒だけ、甘酒は近くの焼酎蔵より本物の麹を使ったものなんだそう。
甘さ控えめのクリームがいちごの甘さ・無添加アイスの甘さをひきたてます。
いちごシーズンが終わったら、近くの和気神社の藤まつりに合わせて紫色のパンケーキや、夏にはマンゴーのパンケーキパフェなども企画中だそうですよ。
パフェの他、妙見石原荘の名物スイーツ、黒砂糖・黒ゴマ・黒酢を使用した「黒アップルパイ」も味わえます。
お食事・スイーツともに新しいメニューを続々考えていくそうなので、記事を見て訪れた方は、また違うメニューに出会えるかもしれませんね!
なお全館「妙見温泉ねむ」としても少しずつリノベーションを続けながら営業しています。
ネムノキ茶屋の下の階にある温泉は500円で利用可能です(ねむのきランチには温泉がついてます♪)
写真:妙見温泉ねむの温泉。源泉がものすごい勢いで注がれている
取材時は内湯でしたが、壁を一部取り払って、川に面した半露天にする計画も進んでいるとのことでした。
写真:濃い泉質が床に文様を作っている。脱衣所にかかるアンティークランプが落ち着く
ただし湯舟に注がれている湯は、今回新しく掘った源泉です。良質な源泉が豊富に湧出したそうで、新しい源泉を熱交換機に通して加水なしの源泉100%を実現しています。
湯口から湯舟への注がれ方が大量で滝のようです。
客室も旧妙見ホテル時代のままではありますが、泊まれます。古い分、お値段はお手頃で露天付き客室がなんと1万円台です。こちらも少しずつ手をいれていきたいとのことです。
写真:妙見温泉ねむのフロントと看板猫にゃん。オッドアイが可愛い。妙見温泉では猫写真イベントも行われている
「ネムノキ茶屋」を中心に日帰りでも寛げるスペースとなった「妙見温泉ねむ」。メニュー開発やリノベーションの進行など、また訪れるのも楽しみな場所が、妙見温泉に増えました。
(取材・文 おんせんニュース中の人)