静岡県の伊豆半島南西部にある大沢温泉郷は、250年ほど前に開湯したといわれる歴史のある温泉地です。2020年12月にオープンした「大沢温泉 依田之庄」は、旧依田邸敷地内にあり、元大沢温泉ホテルの源泉を引湯しています。歴史の面影を感じながら利用できる日帰り温泉施設をご紹介します。
写真:川のせせらぎも聞こえる露天風呂
江戸時代開湯の歴史ある「大沢温泉郷」
静岡県の伊豆半島南西部の海岸沿いに位置する松崎町。
町内には史跡も多く、特になまこ壁造りの建物が印象的です。町の東部には、江戸時代明和年間(1764~1772)から那賀川沿いに湯けむりが上がっていたといわれている大沢温泉郷があります。
その昔、村人たちは川原から湧き出る温泉を石で囲い、露天の風呂を造って一日の汗を流していました。明治時代には猟師や行商相手に「新居屋」という名の温泉宿ができ、西伊豆最古の温泉地となったといわれています。
戦後には、那賀川沿いに数軒の宿が建ち並び温泉郷のにぎわいを見せ、現在は民宿2軒と野天風呂のある湯治場1軒が営業しています。
依田家が地域の発展に貢献!
依田家は武田信玄の家臣といわれ、武田家滅亡に際し伊豆に逃れ、ここ、大沢の地に居を構えました。江戸時代には代々「大沢の庄屋」として村民の生活を支えていました。
北海道の十勝の開拓の祖として、今も尊敬されている依田勉三氏の生家です。
写真:歴史の重さを感じる「旧依田邸」母屋
築300年ほどの母屋には、黒光りする重厚な大黒柱や大囲炉裏があり、往時を偲ばせるものが多数あります。現在は、約200年前に建てられた離れや、幕末に建てられた蔵3棟の併せて5棟が県指定有形文化財の指定となっています。
写真:幕末に建てられた蔵3棟
民家では伊豆地域で2番目に古い建物です。松崎を含む西伊豆一帯は冬に強い西風が吹きます。当地特有の建築様式である「なまこ壁」は、火災になった際に、西風による延焼を防いでくれます。
那賀川のせせらぎの音が心地いい!
写真:「大沢温泉 依田之庄」の外観
敷地内に2020年12月にオープンした「大沢温泉 依田之庄」のお湯は、源泉かけ流しの弱アルカリ性単純温泉で、無色透明無臭。さらっとした肌触りで、古くから化粧の湯とも呼ばれています。
内風呂が2つある「庄屋の湯」と、内湯と露天風呂が1つずつある「橘の湯」があり、週単位で男女入れ替えを行っています。
写真:広々として天井まで高い吹き抜けが気持ちがいい「庄屋の湯」
写真:川のせせらぎも聞こえる露天風呂がある「橘の湯」
周囲は自然が豊かで、四季折々の移ろいを感じながらゆったりと入浴できます。
入浴後は、旧依田邸の見学や、絹屋(昔は宿泊部屋だった)で休憩することもできます。
写真:見学のできる「旧依田邸」の玄関横広間。以前は大沢温泉ホテルのロビーとして使用されていました
写真:湯上りの休憩室として利用できる旧依田邸の「絹屋」
江戸時代に村人たちが石で囲って作った露天風呂からスタートしたといわれている大沢温泉。当時から大切に利用されてきたお湯。そんな歴史に触れたり、河原で遊んだりしてゆっくりとした時間を過ごしてみませんか?
(まとめ・文:吉川、編集:hotspring727)
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