岐阜県・下呂温泉から車で約30分。山を一つ越えた向こう側に美しい村があるのをご存知ですか? 日本のほぼ中央にある旧馬瀬(まぜ)村という地域です。
南北28km(七里)に10の集落が連なり、馬瀬川が貫いて流れる森があることから「馬瀬七里十里五十淵」という言葉があるほどで、その美しさは2003年に世界中から美しい街づくりに取り組んでいる都市や農村を選ぶ「ネイション・イン・ブルーム2003」で銀賞を受賞したほど。
そんな馬瀬地区では、この時期「清流馬瀬川 火ぶり漁」が8月下旬から行われます。
「火ぶり漁」とは、鮎が産卵のために川を下る「落ち鮎」の習性を利用した、初秋の夜に行われる伝統的な漁法です。音と光に弱い鮎の活動が弱くなる夜、川にクロスして張った網に、上流と下流から松明の光と音で鮎を驚かせ、怖がって逃げ惑う鮎を網に追い込みます。
かがり火と松明の炎が揺れ、川漁師の「ホーホー」という特徴的な掛け声が響き、幻想的な光景をつくりだします。
写真:川面に映る火と声が幻想的。Googleで画像検索するとさらに幻想的な画像が見られます
「鮎は初夏」というイメージがありましたが、落ち鮎のメスは卵を抱いているので、初夏の鮎とはまた違った味わいになりそうですね。鮎好きなら初夏の「はしり」の鮎と初秋の「名残り」の鮎の両方を味わいたいですね。
馬瀬川の鮎は清流の上質な苔を食べて育ち、スイカにも似た甘い香りを放つのだとか。鮎は「香魚」とも言いますが、馬瀬川の鮎はまさに「香魚」と呼ぶにふさわしいですね。
火ぶり漁の観覧は無料となっています。鮎料理は有料で、事前の申込が必要となります。また、「南飛騨馬瀬川温泉 美輝の里」では、宿泊者限定の鮎のフルコースがセットになったツアーもあります。馬瀬川を眺めながらの夕食会では、鮎塩焼き、鮎フライ、鮎甘露煮、鮎ご飯など鮎のフルコースを楽しめます。
写真:美輝の里の温泉 楽天トラベルで美輝の里の温泉画像やクチコミを見る
ほかにも伝統漁法の体験に、下呂市の酒蔵『天領酒造』のお酒の試飲会などを予定しています(都合により無くなる場合もあります)。目だけでなく、舌でも鮎を楽しみたい方は問い合わせを。
火ぶり漁、鮎以外にも馬瀬地区には見所や美味しいものがたくさんあります。甘く瑞々しいトマトやブルーベリーも火ぶり漁の時期に旬を迎えていますよ。また、ご当地スタミナグルメの「ケイチャン(鶏ちゃん)」もガッツリ系メニューでとっても美味しそう!
また、風光明媚な景勝地でのキャンプも楽しそうです。先にご紹介した「南飛騨馬瀬川温泉美輝の里」では日帰り入浴も可能なので、キャンプをしながら温泉も楽しめます。
下呂温泉街から日帰りも可能ですが、ぜひ馬瀬地区へも滞在して、旬の美味しいものや自然を満喫したいですね。
(まとめ・文:ゆきさね)