群馬の名湯・四万温泉で、酒屋さんが営む温泉宿があるそうです。
「客室露天風呂で熱燗プラン」「大吟醸利き酒プラン」といったユニークな宿泊プランも。
どんなお宿なのでしょうか。その秘密に迫ってみました。
写真:ここでしか飲めないという貴重なお酒も!
オーナーの中村さんにお伺いしました。
ーどんな経緯で、お宿を始められたのでしょうか。
四万温泉が湯治でにぎわっている頃、明治初期にお土産屋さんから始まった酒店です。
私で4代目です。昭和40年代に父の兄弟が多かったため部屋が沢山あり、段々東京へといなくなって部屋が余っていたのですが、ある日他の宿が満室で路頭に迷った人を善意で無料で泊めたのが始まりです。その後民宿の許可を取りました。
写真:今ももちろん、「酒屋さん」のたたずまい
ーやはり、お酒好きの方にはとくに好評なのでしょうか。
ヘビーリピーターが沢山います。毎月2回来てくださる方。団体で毎年連泊の四万温泉大好き居酒屋の方。
そのほかにもリピーターだけで満館になったことも。酒出し風呂がツイッターでバズって全国から来るようになったことも一因ですね。
〜名物酒出し風呂とは〜
露天風呂に備え付けのインターホンでお酒を注文できる!という、なんとも嬉しいサービスです。
お風呂に熱燗! ビール! という夢の絵面ができるんです。
写真:こんな感じで受け取れます
写真:お風呂に運ばれるのは、この宿の名前を冠した日本酒「地酒の宿中村屋 大吟醸酒」
ー露天風呂を手作りされたとのことですが、どういったこだわりがあったのでしょうか。
17年前に日本テレビ『スーパーテレビ』に追いかけられてこの露天風呂を作る映像が流れました。貧乏大作戦のようなストーリーなのですが、新館を作る旅館さんからいらないものをもらって館内を飾り付けていくような感じでした。このテレビのおかげで、借金を返せたようなものです。
今はもうないですが、アメリカから輸入した組み立てキットのレッドシダー製の樽風呂でした。
ー効能豊かな四万温泉の源泉を掛け流しているのですね。
平成元年にお湯を待たない10軒の旅館が集まって、27度の温泉を自分たちで工事をして4キロ以上の湯の管を敷設しました。その後、近所の積善館さんより65度の湯を分けてもらうことが出来て安定供給の湯が来るようになりました。
このように、低温の「岩文の滝湯」と高温の「明治の湯」の二つの源泉を混合し、入浴に適した温度で温泉を掛け流しています。
写真:丸い湯船の夢歩の湯
ーその時期にしか飲めないお酒が飲めるということですが、春に向けて、おすすめのお酒を教えてください。
新酒の『秘幻 しぼりたて』や、『スパークリング 水芭蕉』がおすすめです。
大吟醸利き酒セット(別注で1650円)では、ここでしか飲めない秘蔵酒が飲めます。
宿泊プランの、大吟醸利き酒プラン2食付き1万780円〜(2名様より)というのも人気です。
写真:店頭には秘蔵のお酒がずらり! 先代にうんちくを語ってもらうのもGood
〜酒屋さんならではのおもてなし〜
群馬の地酒にこだわって提供、販売。
四万温泉の地ビール「四万美人」は、中村屋が販売元となっています。
また、オリジナルで造っている永井酒造の「四万川 吟醸酒」や、聖酒造の「四万の郷」など、名だたる酒蔵が造る地酒・地焼酎を取り揃えています。
そんな貴重なお酒を、宿でも店頭価格で提供しているそう。とても良心的で嬉しいですよね。
写真:地元の食材を中心とした郷土料理の数々。一つ一つ、丁寧に作っています
ーワンちゃんOKのお部屋もあるとか。
犬好きな自分がワンちゃん部屋を増設したことも繁盛の理由だと思います。
露天風呂とペット専用風呂が付いている特別のお部屋で、ワンちゃんと一緒にくつろげますよ。
宿泊料金もお手頃で、とっても人気のお宿。予約が取れたらラッキー!
もし満室でも、空室お知らせサービスもあるので、念のためトライしてみるのもおすすめですよ。
(まとめ・文:前田ゆかり)