白神山地と日本海に囲まれた自然豊かな街、秋田県能代市では、毎年8月に、東北の夏の夜を華やかに彩るイベントの1つ「能代七夕 天空の不夜城」が行われます。
このイベント、日本一と言われる高さの巨大な灯籠が、街を練り歩くもので、そのスケールと美しさに圧倒されます。そんな「能代七夕 天空の不夜城」を紹介しましょう!
高さ20mにも及ぶ巨大灯籠が動く!現実離れした幻想的な光景が目の前に
写真:装飾が見事な灯籠が夜空に夏の夜空に映える
能代市役所前から約2.3kmのコースを巨大な灯籠が練り歩くイベント「天空の不夜城」。
見所はやはり灯籠の大迫力でしょう。
巨大な灯籠のうち、大きなものは、高さ24.1m!これは日本最大だそうです。
カラフルでかなり複雑な作りの灯籠。ライトアップされ、夜空に浮かび上がる様はとても幻想的で、きらびやかです。まさに「天空の不夜城」そのものですね。
灯籠が練り歩く国道101号線は17:30から交通規制され、18:45から運行が開始。通りを往復して市役所の前に戻ってくるのは21:00頃となっています。
ゆっくりと鑑賞できる有料鑑賞席(イス席・3000円)もあり、イープラスでの販売はすでに終了しているようです。
歴史ある能代七夕の巨大灯籠、百年の時を超えて復活!
写真:人と比較すると灯籠の巨大さがわかる
実はこの巨大灯籠は、2013年に100年振りに復活したものなんです。
もともと「能代七夕」は千年以上前から続く伝統行事。その起源は蝦夷征伐時代の坂上田村麻呂まで遡るのだそう。
子供達が頭の上に長方形の灯籠を乗せ、城郭型の灯籠を引き回して練り歩くお祭りが古くから行われていました。
そして1830年頃には、名古屋城を模した城郭型の灯籠が作られたことをきっかけに大型化が進み、高さ17.6mもの灯籠が作られたのだそうです。江戸時代後期にこれほど大型のものが作られていたのですね!
近年では、電線の制約にともない、その高さのものが作られなくなっていました。しかし市内の電線の地中化が進んだことをきっかけに、再び本来の大きさの灯籠を作ることに。
新しいイベント「天空の不夜城」として生まれ変わりました。
初めは灯籠の高さを17.6mとし、市民ボランティアも加わって各部品を作成、3日間かけて組み立てたのだそうです。
そして翌年には高さ24.1m、幅10mの日本最大の灯籠が作られました。
20m以上の灯籠、想像を絶する高さですよね。そんな巨大なものがゆっくりと通りを練り歩くなんて、なんだか信じられない光景です。
しかも城郭型と言われるだけに、最上段にある天守閣の部分も含めると9段構造のとても凝った作りになっているんです。
城郭のお堀を描いた層があったり、お花見の様子を描いた華やかな層があったりと、各層をじっくり見てみたくなるような芸術的なデザインは協議会で話し合って決められ、製作には7ヶ月もの時間がかかるのだとか。
和紙に「ねぶたカラー」という塗料を使って彩色されていきます。このねぶたカラー、光をよく通し、水性ですが雨に流れないという特徴があるそうです。
天守閣部分には巨大なシャチが向かい合っていて、この部分だけでも高さ3mもあるというのが驚きですよね。
今年、登場するのは明治時代の写真を元に復元された17.6mの「嘉六(かろく)」と、2基目に作られたという「愛季(ちかすえ)」。愛季は能代の桧山地区にあった城の城主「安藤愛季」の生涯がテーマだそう。その高さは24.1mになります。
愛季はさらにカラフルな色合いとなり、くっきりと夜空に浮かび上がるととても華やかで美しく、某メーカーの4Kテレビのプロモーション映像として使われたことも。
実際に現地で見て、間近でその迫力を味わってみてくださいね。
写真:かなり複雑な造りの灯籠、じっくり見てみたい
有料鑑賞席チケットまだ間に合います!
灯籠を座ってゆっくりと鑑賞できる有料鑑賞席のチケットは、能代観光協会でも電話受付にて販売中です(電話番号:0185-88-8802)。また当日の会場でも購入できるのとのと。
近くには、無料の駐車場もいくつかあるそうです。アクセスや駐車場の案内については公式HPの会場アクセスを参照してみてくださいね。
巨大灯籠を復活させて生まれ変わった能代の伝統行事。
能代は温泉地でもあり、源泉かけ流しの温泉に入れる日帰り入浴施設や旅館もあるので、お祭りの日に合わせて訪れてみてはいかがでしょうか。
(まとめ・文:mashiro)